連載:親子で楽しむ日々の新聞活用 49回

新聞のニュースから読み取れることー全国新聞教育研究協議会顧問・鈴木 伸男ー

「過去」と比較し「今」を知り「先」を読む視点を養う

私たちは、ニュース(出来事の事実)やビューズ(論評・意見)などの新聞記事を読むことで、社会の動きや海外の様子を知ることができます。

これらの記事を通して、新聞が知らせたり、教えてくれることが大きくわけて、3つほどあります。

まず、「事実」を知らせます。ニュース記事では主観を入れずに書くことは当たり前のように思いますが、事実のうちどこを中心にして書くのかによっても、記事の内容は異なってきます。事実を正しく読み取るためには、複数紙を読むことが大切です。多くの新聞に共通した部分は、事実だと考えてよいでしょう。

また、殺人事件の記事で容疑者の言葉として「人を殺してはいません」と書かれることがありますが、容疑者が言ったことをそのまま載せただけであり、言ったこと(殺人をしたかしないか)が正しいかどうかはわかりません。

次に「今」を知らせます。社会や経済などの今をよりよく知るためには、過去の新聞を読むことが必要となります。日々の変化は気づかなくても、数年前の新聞と比べることにより「今」がよりよく見えてきます。

最後に「先」のことを考えさせます。新聞を読むことの最大のよさ・大切さは「先を読む」ことだと私は思います。経済面によくみられる「へ・も・に・か」と呼ばれる予測記事(観測記事)は、そのヒントを与えてくれます。

全国紙でも競馬の天皇賞・有馬記念などの重賞レースの勝馬予想が載せられていますが、「先を読む」ことの代表的なものと言えるでしょう。

私たちがよりよく生きるためにも「先を読む」ことはとても大切です。新聞の天気図から今日の天気・気温などを予想して服装や持ち物を用意します。

全国紙には「ひと」「顔」などというタイトルが付けられ、活躍した人を紹介するコラムがあります。

春の選抜高校野球や夏の高校野球選手権大会の決勝戦翌日の朝刊には、優勝チームの一人にスポットを当てますが、誰が掲載されるのかを予想するのも楽しい「先」の読み方です。監督、エース(主戦投手)、主将、新記録を出すなど活躍した人が考えられます。

今年の選抜高校野球では、優勝した敦賀気比高等学校(福井県)の松本哲幣選手ではないかと思ったのですが、朝・毎・読の3紙共に監督でした。ここ数年、監督を取り上げることがとても多いですが、なぜだと思いますか。

【2015年4月20日号】

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