今年2月20日に、神奈川県川崎市で中学1年生の男子生徒が殺害され、河川敷に遺体を遺棄される事件が起こった。学校、行政、地域社会などの努力で未然に防ぐことができなかったのかと全国の学校、教育委員会においてこの事件を踏まえた緊急の対応が求められるところだ。文部科学省は3月31日に、教育委員会、知事等に向け、連続して欠席し連絡がとれない、また学校外の集団との関わりの中で被害に遭うおそれがある児童生徒の安全確保に向けた取組について、初等中等教育局長より通知した。
川崎市の事件を受け、文科省は丹羽秀樹副大臣を主査に関係府省庁と連携して、「川崎市における中学1年生殺人事件に係るタスクフォース」を立ち上げ、対応方策をまとめ今回の通知とした。
その内容は「4月の新学期に向けて進める緊急点検の実施」及び「平成27年度特に力を入れて取り組む施策」の2点だ。
平成27年度特に力を入れて取り組む施策は「学校や教育委員会における組織的な対応の充実」「学警連携協定等、学校と警察をはじめとする関係機関との連携の促進」「課題を抱える家庭に対する教育と福祉が連携した支援の充実」「子供のSOSを受け止めるための窓口の充実等」の4点だ。
「被害のおそれ」がある児童生徒に対しては、「学校における早期対応について【指針】」を踏まえ、学校や地域の実情に応じた早期対応の指針を作成し、学校内や学校と設置者間の情報共有、状況に応じた具体的な対応についてあらかじめ整理し、事案に応じた円滑な対応が行えるように通知した。
指針によると、日常の体制として、組織的な対応や学校外の組織との連携を進め、児童生徒とは日頃から培う教職員との信頼関係を基礎に、自身や友人に「被害のおそれ」がある時等は、身近な大人に相談するよう指導していくことが必要とした。
連続欠席等により「被害のおそれ」が生じた場合は、正当な事由がなく連続で欠席している場合は、担任・養護教諭等がチェックした上で3日を目安に校長等への報告を推奨。7日以上連続して欠席し、本人の状況確認ができていない場合は、学校が設置者へ報告を行うこととした。
また、学校が設置者へ報告後、学校及び設置者等は速やかに当該児童生徒に対する支援体制を構築する必要があり、「所在不明の場合」「家庭の協力が得にくく連絡が取れない場合」「学校外の集団との関わりがある場合」「欠席が続く場合」と状況に応じた支援体制を構築し、適切な対応が求められる。
その際、必要に応じて児童福祉等の関係部門や警察等の関係機関と連絡を密にすることを推奨している。
文科省は、今年度早期に緊急の生徒指導担当者連絡会議を開催し、そうした機会を通じて今回の通知に示す事項に係る事例を紹介していく。
【2015年4月20日号】
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