「専門性」を深めて 健康課題解決へ向け養護教諭の資質向上を
全国養護教諭連絡協議会(以下、全養連)が主催する「第20回研究協議会」が2月20日に行われ、「時代の変化に対応した養護教諭の役割を追究する‐養護教諭の専門性の確立と発展を目指して‐」をテーマに開催され、全国から多くの養護教諭が集まり研修を行った。
文科省の岩崎健康教育調査官から、保健室経営 計画の重要性が語られた |
今回の研究協議会は、20回の節目の回。全養連としてこれまでの活動の報告と、今後進むべき道が示された。
全養連の前身は昭和に溯り、各研究会の代表が集まる会を経て、昭和63年に「全国養護教諭会長協議会」となった。その後要請活動ができる研究団体とすべく「全国養護教諭連絡協議会」と名称を変更、平成4年7月の総会で会則を成立させ、全国の養護教諭の研究団体として歩み始めた。
平成7年には養護教諭の「保健主事」への充当が可能になり、平成10年には管理職への登用の道が開けたと同時に、「保健」の授業の担当が可能となった。平成19年の保健体育審議会答申では、学校保健の中核をなすと明記された。
これら経緯から全養連は養護教諭の「処遇」から「資質向上」に課題をシフト。現在、全養連には52研究会2万7109人が加入している。
今後は法的に未整備な課題である「研修」や、職務に関する調査結果を分析し、専門性を深め子供たちを取り巻く健康課題解決に努めていくという。
今年1月15日に第9号となる研究誌『瑞星』が発行されたが、この研究誌を「事例検討の参考資料」「情勢・歴史を知る」「研究会の参考資料」「研究会情報」「統計の活用」の視点で、各会員の資質向上に役立ててほしいと、池田みすゞ常務理事が発表した。
また、文科省スポーツ・青少年局学校健康教育課の岩崎信子・健康教育調査官の講義「組織的に機能する保健室経営の進め方」も行われた。岩崎調査官は冒頭で「一番大切なことは根拠を基に仕事をすること」と話し、子供たちを取り巻く心身の様々な健康課題の解決には、「保健室経営計画」の必要性があると説いた。
日本学校保健会の調査(平成23年)では、全体の27%が保健室経営計画を作成しておらず、「課題解決型」の保健室経営計画となるとさらにその割合があがるだろうと岩崎氏は話す。
そこで、演習形式で参加者に保健室経営計画の立て方を講義した。広い会場を回りながら、▼自校の健康課題をリストアップ▼リストから重点目標を1つ決め、それについて自分ができることを3つ記入▼保健室経営目標を立てる、というステップを説明した。
保健室経営計画については今年2月に(公財)日本学校保健会より「保健室経営計画作成の手引(平成26年度改訂)」が発行されている。
【2015年3月23日号】
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