前回(10月20日号)は、死亡記事についての取り扱い、社会的な影響などを紹介しました。その死亡記事を、熱心にチェックしている人がいます。さてどのような職業の人でしょうか。
まず、通夜・葬儀に参列しなければならない人として、議員秘書、会社の総務課・秘書課、香典返しに関連して、デパートの外商部、贈答品業者などが浮かびます。かつて、この欄の記事をもとに空き巣に入ったという新聞記事をみたことがあります。こんな事件があったからでしょうか、10年ほど前から死亡記事に自宅住所を載せなくなり、現在ではまったく書かれることはありません。
前回、平成26年9月19日の毎日新聞・朝刊の死亡記事の話を書きました。元JR西日本社長(94)、元全日本空輸(現ANAホールディングス)社長(81)は、見出しも写真もないベタ記事でした。現職でしたら2段以上の見出し、写真付きの記事になっていたでしょうし、亡くなって数年後でも、見出し付きのベタ記事になったろうと思います。つまり、最後は「影響力」が記事の大きさを左右することになります。
9月15日の朝刊には、山口淑子さん(1920〜2014)の死亡記事が大きく取り上げられました。山口さんの生きた足跡を時代の動きに合わせて振り返る記事が載せられていました。1933(昭和8)年、15歳で中国人の歌手としてデビューし日中の戦争の渦中、中国で活動しました。
いま現在90歳以上で亡くなられた著名人の死亡記事からは、生きた昭和史を学ぶこともできます。
最後に、死亡記事から分かること、考えてほしいことをまとめてみます。
●1か月間の「死亡欄」に掲載された人の死亡年齢の平均を出す‐地方紙には、一般の人を死亡欄に載せているところがあります。希望しない人を除くすべての人を載せているので平均寿命の実態にあった数値が求められるでしょう。
●病名、喪主の続き柄などを見る‐現代社会の一端が垣間見られます。
●女性の掲載数が少ない‐女性の社会的進出が遅れていたことが実感出来ます。現在活躍中の50、60代の女性が死亡欄に載るのは2、30年後になります。
●個人情報を載せたくないという傾向も分かる
●取扱い‐新聞によっては取扱いに差があったり、取り上げられないこともあります。
【2014年11月17日号】
関連記事