連載:親子で楽しむ日々の新聞活用 43回

見出しから見えるおもしろさ―8文字の訴えー全国新聞教育研究協議会顧問・鈴木 伸男 

見出しに表れる各社の方針 取材力の差も見出しで実感

一般紙では、棒記事(死亡欄)の一部を除くほとんどの記事で、本文の前(囲み記事では真ん中)に大きな文字の見出しが付いています。新聞を速く読んだり、読みたい記事を探す上でも役立っています。

見出しの主な役割は、3つ。まず、長い記事の要点や種類が分かります。次に、文字の大きさとその位置で、新聞社が考える記事の価値判断が分かります。ニュース記事は事実が客観的に書かれていますが、どの記事を重要視するかは編集サイドで主観を交えながら決めていて、見出しによく表れます。最後に、紙面にゆとりと読みやすさを与える役割があります。本文の小さい文字がぎっしり埋まっていたら、読む気が失せてしまいますよね。

注目したい政治記事や事故・事件、スポーツ

さて、見出しで注目・注意して読んでほしい紙面(記事)は、総選挙や内閣改造などの政治記事、事故・事件や災害のニュース、スポーツ欄の3か所です。

9月4日・朝刊・第1面のトップ記事は〈地方・女性に重点〉(毎日)、〈政権安定を優先〉(朝日)、〈「実行実現」へ重厚布陣〉(読売)、〈経済優先で「実行実現」〉(産経)となっており、新聞社によるスタンス、政権への支持度に差のあることが分かります。読売・産経のほうが毎日・朝日よりも期待感を表しているといえるでしょう。

社会面の記事の例では、8月20日・夕刊、広島での土砂災害での死者・行方不明者の数が新聞によって異なっていました。大きな事故・災害になればなるほど、各社独自の取材力の差が出てきます。

スポーツ面では、「もじり言葉」を使ったダジャレのような見出しを見つけることができます。8月4日・朝刊(朝日)には、〈大谷攻略 タカ笑い〉(ソフトバンクが日ハムに快勝)、〈「安打の恋人」鈴木5の5〉(ロッテの鈴木選手が5打数5安打)とありました。

では2つ課題です。(1)各紙面のトップ記事の大きな文字の主見出しの文字数を数え、その平均を出してみよう(読点やカギカッコは数えない)。8〜10字で書かれると言われますが実際はどうでしょうか。(2)トップ記事やそれに準じた記事では、主見出しの右や左に少し小さい文字の見出しが付きます。これらに言葉を補ったり、つなげたりすると、記事の要約ができますので挑戦してください。

【2014年9月15日号】

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