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校長は「校務を司り、所属職員を監督する」、教頭は「校長を助け、校務を整理し、及び必要に応じて児童の教育を司る」、教務主任は「校長の監督を受け、教育計画の立案、その他の教務に関する事項について連絡調整及び指導助言に当たる」(教頭を副校長、また、管理職と位置づけられた主幹教諭を配置している学校もある)。これが学校教育法に示されている管理職の職務です。
増加が想定される 管理職の精神疾患
平成22年度の全国における管理職の精神疾患による休職者は(5407人)、教職員の休職者の中で、校長が約0・6%(30人)、教頭(副校長)が約1・6%(89人)主幹教諭約1・2%(66人)で、管理職の精神疾患がこれからさらに増加することが十分に予想されます。
特に校長の職務は「孤独」です。私も校長を務めましたが、自分の後ろには責任をとってくれる者はいないのです。
校長の大きな悩みは次の3つです。
大切にしたい 着任地域とのつながり
まず、着任した地域についてです。
教職員人生で、見知らぬ地域に着任したときの不安は計り知れないものがあります。地域住民、教職員すべて面識のない中、「俺は(私は)、校長だ」などと高飛車な態度に出たら大変です。よほど気を配った対応をしないと、受け入れてくれません。
教育委員会の支援が重要
次に、服務監督権者の教育委員会との関係です。
もし、この学校でだめだったら、また他の地域にすぐ異動させられるというスタンスであれば、疑心暗鬼になってしまうこともあります。教育委員会が「好きなように思う存分やってくれ、後ろには我々が付いているから」などと声をかけてくれた時には、学校のため、子供達のため、教職員のために奮闘する力が湧いてくるのです。
教職員への感謝を
そして、教職員との良好な関係を築く方法で悩みます。この関係がうまくいかなかった場合には、自分自身も学校も最悪の事態となり、教職員にそっぽを向かれてしまいます。先生方には「子供達の前に出て、その学校の教育を担っていただいている」という気持ちがなければなりません。校長は方針を立て、その成果を見届けて責任をとる役目です。
自分なりに校長のタイプを考えてみました。
▽校長室に張り付いて出て来ない「たこ壺校長」▽かまぼこのように校長職が板についてきた「煉りもの校長」▽元気が出るのも縮むのも吹く風次第、中身のない「鯉のぼり校長」▽相手の話をよく聞かずに結論を出して動き回る「牛若丸校長」▽学校外に多くの役職を持ち学校を留守にしがちな「2000円札校長」▽飾らず、驕らず、天衣無縫の性格をさらけ出しじわじわと味を出す「するめ校長」▽腰を据え、八方を睨んで手も足も出さず部下を信じて委ねる「だるま校長」、などと教職員から評価されているかもしれません。
管理職同士の人間関係
また、教頭も校長との関係、主幹教諭も教頭との関係などによって、メンタル面の不調をきたすことが見られます。そこで、教育委員会は人事及び組織運営上、アンテナを高く広げることが求められています。
孤独といわれる管理職だからこそ、仕事を離れて心の叫びを、愚痴の一つも聴いてくれる人を数人つくっておくことはメンタルヘルスの大切な予防法なのです。私もそれで救われたことがあります。
【2014年9月15日号】
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