文部科学省は平成26年度全国学力・学習状況調査の調査結果を公表し、本調査結果及び平成19〜22年度の調査分析を踏まえた学習指導の充実・改善に向けた説明会を9月10日に東京都内で実施した。同説明会は9月30日に福岡でも行う。
それによると、小中学校ともに、国語A(知識)問題、B(活用)問題、算数A・B問題において学力の底上げが図られている。
特に顕著な改善が見られる都道府県が、沖縄県の小学校だ。全教科平均正答率で見ると平成24年度は全国47位だが、26年度は24位と目覚しい。算数Aにおいては全国平均を2・8ポイント上昇、全国7位の大躍進ぶりと顕著。
その他の項目についてもほぼ全国平均に迫っている。
沖縄県では校内外の研修や研究会の参加や校内研修の回数が上昇しており、実生活における事象との関連を図った算数の授業の実施回数や補充的な学習指導については、全国平均を上回っていると報告している。
学力に相関関係のある指導においては、次の項目に改善が見られた。
▼総合的な学習の時間における探究活動▼本やインターネットを使って、グループで調べる活動▼自分の考えを発表する機会を確保した授業▼学級の友達との間で話し合う活動▼発展的な学習の指導▼小学校における補充的な学習の指導▼国語の指導として、書く習慣を付ける授業▼算数の指導として実生活における事象との関連を図った授業▼調べたり文章を書いたりする宿題を与える
小学校算数Bについては課題がまだ多く、記述式設問では表現不足の解答が目立つ傾向にあるものの、記述式設問の平均正答率は平成19年度の調査開始以来、最も高い正答率となった。
注目すべきは「教員はそのように指導しているつもりだが児童生徒はそのような指導を受けているとは思っていない」という割合が一定数存在する点だ。この傾向は特に中学校で顕著。
今回の調査では、「授業の冒頭で目標を示し、授業の最後に学習したこと振り返る」活動を積極的に行った学校ほど、国語Bの記述式問題の正答率が高い。
これについて学校と児童生徒の双方の回答を比較したところ、特に「振り返り活動」について、「よく行った」と答えている中学校のうち約43%もの生徒が、そのようには考えていない。中学校国語における「振り返り活動」のあり方については、改善の必要がありそうだ。
学力調査と児童生徒質問紙を分析すると、知的好奇心が高くポジティブなメンタルを持つ児童生徒の学力が高い。以下のような児童生徒に教科の平均正答率が高い傾向が見られる。
▼読書が好き、読書時間が長い、学校や地域の図書館に行く頻度が多い▼学級みんなで協力して何かをやり遂げ、うれしかったことがある▼先生は、自分のよいところを認めてくれていると思う▼家の人と学校での出来事について話をする▼家の人は、授業参観や運動会などの学校行事に来る▼地域や社会をよくするために何をすべきか考えることがある▼ものごとを最後までやり遂げてうれしかったことがある▼人の気持ちが分かる人間になりたいと思う
【平成26年度全国学力・学習状況調査の結果を踏まえた学習指導の充実・改善に向けた説明会発表資料】
国立教育政策研究所WeB=www.nier.go.jp
【2014年9月15日号】