「土曜授業」2倍増へ 自然体験や地域交流も―文科省調査

充実した学習機会を提供する方策の一つである「土曜授業」の実施に向けて、平成25年11月29日に学校教育法が一部改正された。それにより、公立校は設置する教育委員会等が必要性を認めた場合、土曜日等に授業を実施することが可能であると明確化された。文部科学省が行った本年度の「公立小・中・高等学校における土曜日の教育活動実施予定状況調査」によると、「土曜授業」の実施予定は小・中・高を合計して5573校と平成24年度の実績2909校を大幅に上回った。

文部科学省は平成26年の予算に「土曜授業推進事業」として1億円、地域の豊かな社会資源を活用した土曜日の教育支援体制等構築事業として13億円を計上している。そういった支援体制も、今回の結果に反映されていると推察できる。

本年度、「土曜授業」の実施を予定している学校を校種別に見ると、小学校が3565校で、実施割合は17・1%、中学校が1794校(18・3%)、高校が214校で(5・9%)となった。

実施回数は小・中学校において年に3回以下が多数を占めている。小学校49・4%、中学校50・4%。一方、高校では24・1%。高校では年に11〜17回が22・3%、年に4〜10回が20・9%と3回以下とほぼ同数となっており、高校における「土曜授業」の回数が多い。

一方で「土曜の課外授業(希望者を対象とした学校主体の教育活動)」の実施率は減少しているが、これは土曜授業の実施を検討するために見送ったと考えられる。

学校が場所を提供し「土曜授業」を含んだ「土曜学習」の実施を予定している学校は小・中・高で6585校。自治体への聞き取り調査によると、これまで「土曜学習」は「子供の居場所づくり」としての要素が強かったが、自然体験活動やスポーツ活動、地域交流など、活動が充実する予定の学校が増加した、という報告も寄せられている。

土曜授業推進事業 155校を実践校

また、文科省では平成26年度の「土曜授業推進事業」実践地域等の指定として24地域、155校を指定した。

この事業は、質の高い土曜授業の実施に資するため、外部人材等の活用など授業を土曜日等に実施することの利点を活かした実践的な研究を行い、効果的な指導方法やモデルカリキュラムの開発などを行い、その成果の普及を図っていくもの。

指定校には小学校が板橋区立蓮根第二小学校他83校、中学校が厚木市立相川中学校他50校、高校が北海道奥尻高等学校他16校、中等教育学校が北海道登別明日中等教育学校他1校、特別支援学校は八尾市立特別支援学校が決定している。

内容は、町長の出前授業、ふるさと教育など地域との密接な学び、防災教育、道徳教育といった今日求められている新たな課題、民間企業プログラムへの参加や企業戦略の研究といったキャリア教育など多岐に渡る。

【2014年8月18日号】

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