全国紙、ブロック紙、多くの地方紙の総合面・政治面の最下段に「首相日々」「首相動静」「安倍首相の一日」「首相の一日」というタイトルが付けられた記事(動向欄)がありますが、他の記事の本文よりもかなり小さい文字で書かれていますので注意しないと見落としてしまいます。
ところで、「首相」とは本来どんな意味があるのでしょうか。大辞泉で「宰相」を引くと、〈古く中国で、天子を補佐して政治を行った官〉と出ています。首相は、宰相の首(かしら)であることから総理大臣の代わりに首相とし、各大臣は○○相と通称で呼ばれるようになり、記事に書くとき文字数を減らすことに役立つことから広く使われるようになったと推測されます。
次の3点について、調べてみましょう。
【問1】ある日の朝刊の総合面・政治面から(1ページ目から3、4ページ目位まで)首相という言葉がいくつ出ているか、予想してから実際に蛍光ペンで印をして数えてみよう。
動向欄は行政権の最高責任者である総理大臣(首相)の前日の行動を伝え、土・日・祝日の動きも必ず載せられています。「首相番」と呼ばれる政治部の若い記者が張り付き状態で取材してまとめます。首相がいつ・どこで・誰に会ったか、どこへ・何の目的で行ったか、などは政治の動きを探るカギとなるからです。
首相側としては知られたくない人事や、政局の駆け引きのようなことは秘密裏に行動することもあり、動向欄から漏れることもあります。ニュース記事として取り上げられるものもあるので確認してみて下さい。地方紙の場合は、時事、共同などの通信社からデータを得ています。
数年前ですが、この動向欄の1年分をスクラップ帳に貼り、登場人物一人ひとりについて登場回数を調べてグラフ化し、首相がどういう人や組織とつながりが強いかなどを調べた中学生がいました。大変な作業ですが面白い結果が期待できるので数か月でよいからやってみて下さい。
【問2】1か月の動向欄から、各党派別衆・参議員/地方議員/各省庁の官僚/経済人/スポーツ関係/文化人/学者などに分け、分類してみよう。
【問3】銘柄の異なる2、3種類の新聞のこの欄の中身を比べてみよう。違いがあるだろうか。
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【2014年6月16日号】
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