安全教育の時間確保を 9月に中間報告―中央教育審議会スポーツ・青少年分科会学校安全部会

東日本大震災、台風や集中豪雨、大雪等の自然災害が近年多数発生している。登下校中の交通事故や不審者との接触など子供の安全確保も喫緊の課題であり、安全教育の充実が求められている。第7期となる中央教育審議会スポーツ・青少年分科会学校安全部会の初回が5月20日に文部科学省で行われ、委員22名が揃った。部会長は社会福祉法人恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所所長で東大名誉教授の衞藤隆氏。

学校安全は学校健康教育の3領域の一つであり、生活安全、交通安全、災害安全について考えるべきもの。

中学校の学習指導要領の中には、総則で「保健体育科、技術・家庭科、特別活動においてもそれぞれの特質に応じて適切に行うように努めること」「生涯を通じて健康・安全で活力ある生活を送るための基礎が培われるよう配慮しなければならない」などと明記されている。

だが、十分ではないことから、本年度予算において実践的防災教育総合支援事業に1億2000万円、防災教室の推進に1300万円などが計上されており、学校事故対応に関する調査研究については新規事業として1億1000万円が計上されている。

20日の最初の部会では、各委員から所属団体や学校の活動内容について紹介がなされた。

防災教育については、日野市立平山小学校長の五十嵐俊子委員から文科省の研究開発校として防災カリキュラム開発を進めていること、高知県教委学校安全対策課課長補佐の岡田直子委員から平成24年度に「学校安全対策課」を設置し津波に対する課題解決へ向けて取り組んでいること、東京私学教育研究所所長の清水哲雄氏からは登下校中に起こった緊急時に対し近隣私学に避難できる「緊急避難ネットワーク」を構築し運営開始したことなどが報告された。

交通安全や生活安全については、日本PTA全国協議会会長の尾上浩一氏より、保護者として交通安全について動いていきたいと考えており自転車保険加入促進を図りたいこと、東北工業大学教職課程センター教授の小川和久氏からは、子供の交通事故の分析が不十分になされていないことが指摘された。

また、さいたま市元教育長の桐淵博氏からは平成23年にさいたま市の小学6年生が駅伝の課外練習中に倒れたが、事故の前に小中学生と教員全員に心肺蘇生の研修が行われていたにも関わらず、迅速に処置がなされず死亡に至った経緯から、緊急時にも迷いのない行動をとるために小5生からカリキュラムに取り入れたこと、などの話があげられた。

今後同部会では、防災教育を含む安全教育の指導時間の確保、教員養成や教職員に対する研修における学校安全に係る内容の充実、教育委員会や学校における安全教育・安全管理体制の充実等について議論される。9月には中間報告がまとめられる予定だ。

【2014年6月16日号】

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