高まる「評価」への関心 キャリア教育・進路指導調査

二次報告まとまる

 国立教育政策研究所は、キャリア教育や進路指導に関する実態を把握すること、今後のキャリア教育・進路指導の改善・充実を図るための基礎資料とし得ることを目的に行った「キャリア教育・進路指導に関する総合的実態調査」の第二次報告書を発表した。

 同調査は7年に1度実施しており、今回は新たに小学校を対象に加え、キャリア教育に焦点をあてた。今回の分析で、「キャリア教育は学習意欲の向上に影響する」「全体計画の策定こそが各校のキャリア教育を充実させる」「体験活動は児童生徒の職業への意識や学校生活への積極性を高める」「キャリア教育の充実には、研修機会の確保や保護者、地域との連携が重要である」ことが明らかとなった。

  報告書では小学校においては、重点目標を絞り具体的目標を明確にした計画の下、担任が積極的に実践することで児童の学習意欲の向上につながるとする。

学習意欲の向上に影響

  小学校・小学校教員への調査によると、「キャリア教育の実践によって学習全般に対する児童の意欲が向上してきている(学校)」24・2%、「児童はキャリア教育に関する学習や活動を通して、学習全般に対する意欲が向上してきている(担任)」が28・1%となった。

  中学校では、全校的に実践することが生徒の学習意欲の向上に影響し、高校においては担任が自校や生徒の現状をベースにした、体系的なキャリア教育を展開することで、生徒の学習意欲の向上につながる。

全体計画の作成で 実施の充実を図る

  全体計画を有している小学校は、63・4%。小学校においては、キャリア教育の全体計画の「策定」が担任の積極性に結びつく。

  中学校においては全体計画の「具体的目標設定の有無」が担任の意識や行動に影響を与えることがわかった。適切なキャリア教育を行うための重要事項の認識を調査したところ、計画・実施に関する19項目すべてにおいて「目標設定あり」の方が高い割合を示した。

  高校では、7割の学校が全体計画を策定しているが、その中で「現状把握や評価計画の具体的記載」がある高校の方が積極的な指導につながっているという。

体験活動は意識向上・ 積極性を高める要因

  小学校では体験活動の事前・事後指導の充実が児童の職業意識を高めており、中学校では職場体験が生徒の学校生活への積極性を高めている。高校では、インターンシップの事前・事後指導の充実が学習意欲の向上につながると報告された。

高校選択にも影響

  中学校の多くは「職業体験活動」をキャリア教育の一環に設けており、約9割が2年生で実施。「職場体験充実群(4日以上の実施等)」と「職場体験非充実群」を分類して比較・検討したところ、充実群が18項目中15項目で職場体験を「高校選択時に参考にしたい」という割合が非充実群より高い。

  報告書ではキャリア教育への期待は大きいが、その学びの意義を児童生徒に意識させる指導方法を、教師は身に付ける必要があるとする。

  中学校の学級担任への調査によると、「計画・実施についての評価の仕方がわからない」という回答が34・9%あり、前回の8・3%から大きく上昇。高校でも31・0%(前回5・5%)の担任が同様に答えている。

  このことから、キャリア教育における評価に対する関心が高まり、必要性を強く感じている状況が見える。

【2013年11月18日号】

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