「コミュニケーション力」が不足 食い違いの経験67% 国語に関する世論調査―文化庁

言葉の意味
全て上段が正しい使い方

役不足
本人の力量にたいして役目が軽すぎること 41・6%
本人の力量にたいして役目が重すぎること 51・0%
流れに棹をさす
傾向に乗って、ある事柄の勢いを増すような行為をする 23・4%
傾向に逆らって、ある事柄の勢いを失わせるような行為をする 59・4%
気が置けない
相手に対して気配りや遠慮をしなくてよい 42・7%
相手に対して気配りや遠慮をしなくてはならない 47・6%
潮時
ちょうどいい時期 60・0%
ものごとの終わり 36・1%
噴飯もの
おかしくてたまらないこと 19・7%
腹立たしくて仕方ないこと 49・0%

 文化庁が国語施策の参考とするため、平成7年度より毎年行っている「国語に関する世論調査」の平成24年度調査結果が公表された。人とのコミュニケーションについて、「相手の言いたかったことと、自分の受け取ったことが食い違った経験がある人」は、よくある・時々あるを合計すると全体で66・5%。特に16〜19歳が81・1%と最も高く、20代、30代、40代、50代まで約7割が「ある」と答えた。

 同調査は16歳以上の男女3523人(有効回答2153人)を対象に行われたもの。

自分の話し方に問題 16〜19歳がトップの8割

  人とのコミュニケーションについて、「自分の言いたかったことが、相手にうまく伝わらなかった経験がある人」は全体で63・4%。16歳から50代まではその割合が高く6割台半ば〜7割前後だ。

  その理由として「自分の話し方に問題がある」と回答した人は、全体で55・0%、若い年代ほどその傾向が高く、16〜19歳では80・4%と断トツトップだ。20代、30代も7割近くがそう答えた。

男性は敬語の使い方や 言葉遣いに不快感

  また、「相手との人間関係を作り上げながら伝え合うこと」を重視している人が6割以上いる中、「会話での不快感」の割合が高いものとして「態度が悪い」(32・3%)、「会話がかみ合わない」(32・2%)、「相手ばかりが話している」(31・0%)が上位となった。

  トップ3には入らなかったが、男性は相手の「敬語の使い方など言葉遣いに問題がある」と回答した人が最も多く33・5%だ。

  それについては、「社会全般の国語に関わる知識や能力には、どのような課題があるか」の質問ともリンクしており、「敬語等の知識」を挙げた人の割合が最も高い(35・6%)。

「噴飯もの」理解19・7% 5事例で最も低く

  同調査恒例となった言葉の意味の理解については、次の通り。

慣用句の言い方
すべて上段が正しい使い方

つっけんどんで相手を顧みる態度が見られないこと
取りつく島がない 47・8%
取りつく暇がない 41・6%
実力があって堂々としていること
押しも押されもせぬ 41・5%
押しも押されぬ 48・3%
物事の肝心な点を確実に捉えること
的を射る 52・4%
的を得る 40・8%
いよいよというときに使う、とっておきの手段
伝家の宝刀 54・6%
天下の宝刀 31・7%
激しく怒ること
怒り心頭に発する 23・6%
怒り心頭に達する 67・1%

■役不足
本来の意味である「本人の力量に対して役目が軽すぎること」と理解している人は41・6%で、「本人の力量に対して役目が重すぎること」と理解している割合の方がやや上回っている(51・0%)。

■流れに棹さす
本来の意味は「傾向に乗って、ある事柄の勢いを増すような行為をする」だが、正解率は23・4%と低い。

■気が置けない

「相手に対して気配りや遠慮をしなくてよい」という本来の意味を理解している人は42・7%で、「相手に対して気配りや遠慮をしなくてはならない」と誤って理解している人(47・6%)を下回った。

 

■潮時
「ちょうどいい時期」と本来の意味を理解している人が多数で60・0%。

■噴飯もの
本来の意味である「おかしくてたまらないこと」を理解している人は19・7%と5つの事例のうち最も低い。多くは「腹立たしくて仕方ないこと」(49・0%)と理解していた。

「怒り心頭に発する」 67%が「達する」と誤用

  慣用句については、「取りつく島がない」「押しも押されもせぬ」「的を射る」「伝家の宝刀」「怒り心頭に発する」の4つについて問うた。

  「怒り心頭に発する」を正しく理解している人の割合が最も低く23・6%、多くが「怒り心頭に達する」(67・1%)を使っていた。また、「押しも押されもせぬ」についても、「押しも押されぬ」と理解している人の方が多いことがわかった。

 

【2013年10月21日号】

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