「チャイルドライン」日本で15年目―10月26・27日都内で全国フォーラム開催

“こころの居場所”として

 イギリスが始まりとされる「チャイルドライン」は、子どもたちのために電話でつながる「こころの居場所」。日本では1998年に始まり、15年目を迎えた。節目の年を迎える今年は10月26日、27日の両日、「チャイルドライン 全国フォーラム2013in東京」が行われる。

高まる子どものSOS「聞いてほしい」思い

発信82万件、着信21万件

チャイルドライン
「NPO法人チャイルドラインあいち」から生まれたチャイルドラインの キャラクター「ラインちゃん」(仮)

  フォーラムを主催するNPO法人チャイルドライン支援センターの年次報告によると、昨年度の発信件数は82万1591件で、一昨年度よりもその件数は増加している。だが、着信数は21万4643件であるため、発信数の4分の1程度しか受けられないのが現状だ。

  現在チャイルドラインを実施している団体は、44都道府県で76団体。その数や電話の受け手の人員不足が課題だが、子どもたちのSOSは高まる一方である。電話の内容は「人間関係」が圧倒的に多く約2割を占め、特に女子にはその傾向が強い。男子は学年が上がるにつれて「性への興味・関心」が相談の主だが、小学生のうちは「雑談」という子が多いのも特徴。

誰かとつながりたい

  今月行われるフォーラムの実行委員長でもある「NPO法人チャイルドラインむさしの」の池田祥子理事は、「受け手が感じた"電話をかけた動機"では、チャイルドライン開始当初からですが、誰かとつながっていたい、聞いてほしいというのが圧倒的で、悪化の傾向にあります」と話す。

  チャイルドラインは「秘密を守る」、「どんなことも一緒に考える」、「名前は言わなくても良い」、「切りたいときには切って良い」という4つの原則の下、活動を続けている。子どもたちへの周知方法はカードを学校で配布するなどが主だ。

続けることの意味

チャイルドライン
学校を通じて電話番号の入った
カードを子どもたちに配布

  ボランティアで活動するには人員にも費用にも限界があるが、その意義を「NPO法人ひろしまチャイルドライン子どもステーション」の上野和子理事長は、あるエピソードを交えてこう語る。

  「広島で、友人宅にお世話になっていた中3女子がいました。しかし、これ以上お世話にはなれない、だが親には出ていけと言われた、という背景があったのです。その時、学校で配布されたチャイルドラインのカードを思い出し、電話してくれました。児童相談所と、広島市の子どもシェルターの電話番号を教えたところ、その子は2時間後にシェルターの人と会うことができました。チャイルドラインを続けること、電話を開設し続けることに意味があったと思った瞬間です」。

  全国フォーラムでは、イギリスチャイルドラインのピーター・リバーディレクターを招き、同国の取り組みからヒントを得て、日本のチャイルドラインの活動を今一度考えていく。

【2013年10月21日号】

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