【アレルギー対応を研修】全教職員の理解を―さいたま市で食物アレルギー研修会

エピペンの取り扱いを学ぶ

さいたま市で食物アレルギー研修会

エピペンを打つ練習を行う参加者

  8月26日、埼玉県さいたま市で「食物アレルギー・アナフィラキシー対応研修会」(主催:(公財)日本学校保健会、埼玉県教育委員会ほか)が開催され、埼玉県内の管理職や養護教諭など約800名が参加した。

  研修会では、学校での食物アレルギー対策についての講演、エピペンの取り扱い方法の訓練が行われた。

  講演を行った東京都立小児総合医療センターアレルギー科の赤澤晃医師は、昨年12月、東京都調布市の小学校で食物アレルギーが原因のアナフィラキシーショックで児童が死亡した事故についてふれ、報告書で経緯を追いながらその対応方法について述べた。

 さいたま市で行われた「食物アレルギー・アナフィラキシー対応研修会」では赤澤晃医師が「食物アレルギーの基礎知識と緊急時の対応について」講演。

  調布市の小学校で死亡した児童は、「エピペン」を学校に持参していたが、対応者が最初にうまく打つことができなかったとされている(その時すでに心肺停止状態だった可能性も報告されている)。いずれにせよ、「エピペンは打ち直しができない。1度しか打てないので、いざという時にきちんと打てるようにしておかなくてはいけない」と赤澤医師は話す。

  また、アレルギー除去食の対応については複雑な対応はせず、自治体で統一の基準を作り、その基準に沿った対応をすべきだという。過剰な除去は作業が繁雑になり、事故を引き起こす可能性が高まるからだ。

  除去食は、保護者からの申請だけで行うのではなく、学校保健会のHPに掲載されている「学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)」を活用するのがベスト。主治医による記載を受け、保護者と学校が協議しながら、個々の児童に対する校内での取り組みを検討していくことが重要だ。

  中2の生徒がエピペンを持参していると話した養護教諭は、エピペンは生徒の鞄の中で管理しており、全教職員がそれを認識しているという。さらに、周囲の生徒にもアレルギーについて指導を行っていると話した。

  また、参加者からの「アナフィラキシーショックの判断が難しい。ショックを起こしていない人にエピペンを使ってしまった場合は、重大な副作用などが生じるのか」という質問があがった。それに対し赤澤医師は、「健康な人にエピペンを使用しても、大きな問題が生じることはない。使用が遅れてしまうことで生じる問題の方が大きいので、早めにエピペンを打って欲しい」と回答。

  埼玉県養護教員会の青木美子会長(加須市立加須平成中学校)は、「全教職員で情報を共有できるよう、学校に戻って校内研修を実施したい。関心は高まって来ているが、正確な理解が大切であると改めて確認した。学校全体でアレルギーがある児童生徒の健康を守っていきたい」と話した。

【2013年9月16日号】

<<健康・環境号一覧へ戻る