「スーパー食育スクール」「食育の教科書」実現へ―文科省

有識者会議中間まとめ案を討議

有識者会議 7月9日、文部科学省で「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」の第3回目が開催され、中間まとめ案について討議がなされた。過去2回の会議では、中長期的な目標及びそれを実現するための具体的な事業や指導方法等について検討。その論点を整理し、この日は平成26年度以降の文科省の事業として「スーパー食育スクール(SSS)」と「食育の教科書」の2案について討議された。

  食育は、学習指導要領の改訂や栄養教諭制度などにより充実しているが、学校や地域によって取り組みに温度差がある。また、「栄養教諭を中核とした食育推進事業」等により食育の取り組みが広がっているが、地域によっては取り組みが総花的になっていたり、具体的な数値目標がないため成果がわかりにくいことなどが課題であった。

  また、文科省、都道府県教委、市町村教委の役割分担が不明確であることや、テーマを絞った事業展開を構想する必要があり、企業、大学や行政、地域団体などと連携した取り組みを構築することも重要だと討議がなされ、2つの事業が案にのぼった。

科学的視点を加味し 大学や企業との連携を

  SSSは、現在の「栄養教諭を中核とした食育推進事業」を発展させるもの。全国でSSSを指定し、大学や企業と連携して科学的な視点を加味して新たな食育プログラムを開発し、効果の質的・量的評価を行う。

  その際、各校では具体的数値目標を設定し、パラメーターとする数値の「見える化」を図る。数値化することで子どもたちの意欲付けにつながり、保護者の関心を高めることがねらいだ。

教科書を使うことで 学校間の温度差を解消

  食育の教科書については、各学校間の取り組みの温度差を解消することがねらい。文科省は現在「食生活学習教材」を作成し配布しているが、その在り方を見直し、日本の食糧生産や食への感謝の心などについても取り上げた「食育の教科書」のような教材作成が必要とされる。

  また、教材の形態化についてはICTの活用など、より積極的な活用が図られるような教材の研究も求められる。
これらの案について委員からは、「地域と学校をつなぐ食育コーディネーターが必要」、「SSSの目標を強く打ち出す必要がある」、「食育に関する年間の授業時数を明確にしたほうが良い」、などの意見があがった。

  座長を努める馬場錬成氏(21世紀構想研究会理事長)は、「この3回の会議で食育の現場はレベルアップしていることを実感した。SSSの在り方を今後さらに詰めていきたいと思います」とまとめた。これらの意見をもとに、7月中をめどに中間まとめが公表される予定だ。

【2013年7月15日号】

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