いじめ防止対策推進法を公布

道徳や体験活動の推進を

 いじめを原因とする自殺が発生するなど、学校におけるいじめの問題が深刻化する中、「いじめ防止対策推進法」が、6月21日の参議院本会議で可決、成立。6月28日に公布され、公布日から3か月後に施行される。「いじめ防止対策推進法」においては、国に対しいじめ防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針の策定を求め、地方公共団体に対しては、国の方針をもとに地域の実情に応じた同様の基本的な方針の策定に努めるよう求める。また、学校に対しては、国、地方公共団体の基本方針をもとに各校の実情に応じた同様の基本的な方針を求めている。さらに、学校の設置者及びその設置する学校が講ずべきいじめの防止等に関する措置や、重大事態への対処等について規定している。

 「いじめ防止対策推進法」は、第一章「総則」、第二章「いじめ防止基本方針等」、第三章「基本的施策」、第四章「いじめの防止等に関する措置」、第五章「重大事態への対処」、第六章「雑則」、「附則」から構成される。

人材の確保や相談体制の整備

  第三章の「いじめ」に対する基本的施策において、学校の設置者及び学校が講ずべき基本施策は、(1)「道徳教育及び体験活動の充実」、(2)「早期発見のための措置」、(3)「関係機関等と連携した相談体制の整備」、(4)「インターネット等による、いじめ対策の推進」などが定められ、国及び地方公共団体等が講ずべき基本施策として、(5)「いじめの防止等の対策に従事する人材の確保」、(6)「調査研究の推進」、(7)「広報その他の啓発活動」が盛り込まれている。

いじめを受けた子ども 保護者への支援を

  第四章の個別のいじめに対して学校が講ずべき措置としては、(1)「いじめの事実確認」、(2)「いじめを受けた児童生徒または、その保護者に対する支援」、(3)「いじめを行った児童生徒に対する指導または、その保護者に対する助言」を行うものとし、そのいじめが犯罪行為として取り扱うべきものと認められた場合、所轄警察署と連携を取るように定めている。
また、いじめを行った児童生徒の保護者に対して当該児童生徒の出席停止を命じる等、いじめを受けた児童生徒が安心して教育を受けられるようにするための措置を求めている。

調査を基に必要情報を子どもと保護者へ

  第五章「重大事態への対処」として、重大事態が発生した場合、学校は同種の事態の発生防止に向けて速やかに適切な方法で事実関係を明確にするための調査を実施する。その調査結果について、いじめを受けた児童生徒及び保護者に対して、必要な情報を提供することが定められた。

  また、学校は地方公共団体の長等に重大事態が発生した旨を報告し、地方公共団体の長等が実施する再調査の結果を踏まえ、措置を講じるものとする。

  なお、衆参の文部科学委員会は、いじめには多様な態様があるため、いじめに該当するか否かを判断するに当たり「心身の苦痛を感じているもの」との要件が限定して解釈されることのないよう努めること、いじめ事案への適切な対応を図るため、教育委員会制度の課題について検討を行うこと、などを「いじめ防止対策推進法案」の附帯決議とした。

【2013年7月15日号】

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