防災・減災の啓発と普及を目指して新たに「ジュニア防災検定」が創設された(主催=一般財団法人防災検定協会)。同検定は、小中学生を対象に、災害時に自分の命を守り、周囲の人の命を助けることができる子どもを育てようとする取り組みだ。
検定は、小5以下程度の初級、小6〜中1程度の中級、中2、3程度の上級の3級に分かれている。単に知識のみを問うものではなく、考える力や問題を解決する力を身につけてもらうため、事前課題、検定テスト、事後課題の結果を総合的に評価して合否を決定する。
主催する防災検定協会の理事長には、元NHKキャスターで大阪芸術大学教授、語り部・かたりすとの平野啓子氏(写真)が就任。5月23日に行われた記者会見で、平野理事長は「私たちは東日本大震災で、防災の知識と備えが必要なことを実感しました。実際に災害に見舞われた時に適切な行動をとれるようになれば、あの震災による死者は大幅に減らすことができたはず。この検定を通して必要な知識を身につけた子どもたちが、将来、災害に襲われた時に被害を少なくすることができます」と、ジュニア防災検定のねらいを話した。
第1回検定は7月1日に申し込み受け付けを開始し、12月8日に東京と大阪で実施される予定だ。
子どものうちから防災・減災の意識を育てる |
東日本大震災では、津波による犠牲者が地震による犠牲者を大きく上回った。日頃から防災教育に取り組み、津波の犠牲者が最小限であった学校もあれば、津波により大きな犠牲を出してしまった学校もあり、明暗が大きく分かれた。
文部科学省は、24年3月に「学校防災マニュアル(地震・津波災害)作成の手引き」を作成し5月には「東日本大震災における学校等の対応等に関する調査研究報告」を公表。25年3月には「学校防災のための参考資料『生きる力』を育む防災教育の展開」を公開。この中で指導時間の確保や、指導内容を系統的・体系的に整理することが課題とされる。しかし、多くの学校で取り組みは始まったばかり。
また、「全国学校安全教育研究会」によると、学校に職員と子どもがいる時間に地震が発生する割合は約15%であり、家庭や地域にいる割合が高く、子どもが自分の安全をどのように確保するかも重要だ。
共助・公助、自助 知識としての防災教育
今年度より始まる「ジュニア防災検定」は、「知識」としての防災教育、「自助」のための防災教育、「共助・公助」としての防災教育をめざす。
知識とは日頃から災害に備えた準備ができること、自助とは災害時に生命を守るための行動ができること、共助・公助とは未来を創るひとりとして防災・減災のために何が出来るのかを考えることができること。それを踏まえ、事前課題レポート、検定テスト、事後課題レポートという3つの課題に取り組む。
これら3つを総合的に評価し、70点以上を合格とする。合格者には合格証書のほかに「JBKバッチ」が贈られる。特に優秀な事後課題は、協会HP上で紹介。検定料は、初級2000円、中・上級3000円(税込)。
同検定は知識が日常に生かされることが大切との考えから、夏休み等を利用し、「親子で学べる子ども防災広場」などのイベントの開催、ジュニア防災新聞の発行なども検討している。 http://www.jbk.jp.net/
【2013年6月17日号】