まもなく今年度が終わり、次年度の準備が始まる。保健室でも新年度の準備を始めた頃だろう。新年度が始まるとまず養護教諭の大きな仕事、健康診断が行われる。先日都内の養護教諭と健康診断について話す機会があった。同じ都内でも健診結果の課題も様々で、春以外に年に数回行う身長・体重の測定回数も異なるようだ。そこで、東京都・千葉県・埼玉県・大阪府・滋賀県・兵庫県の小学校養護教諭にアンケートを送付(無作為400校)し、37名(中学1校)から回答を得た。
春の健診以外の計測 長期休業明けが最多
子どもたちの成長の一つの目安となる身長・体重については、健康診断以外に計測しているという学校は全校。6割の学校が春以外に「2回」実施しており、時期はほぼ学期ごとで、長期休業中が明けてからの9月と1月が多い。「3回」は8校で、「4回以上」の学校は3校、6・9・11・1・3月と2か月に1度は実施しているそうで、この3校は全て関西の学校だった。
計測目的は低身長症や痩せ・肥満の早期発見
春以外の計測目的は、「低身長症」や「痩せ・肥満」「虐待」の早期発見が主な理由で、「自分の体に興味を持たせたい」「季節にあった保健指導の資料として」など、その後の日常の保健指導としての活用も多いことがわかった。
また、その測定結果をどのように管理、活用しているかについて「成長曲線」のプロットを行っているか聞いたところ、7割以上にあたる28校でプロットしていた。それにより受診時や保護者へ伝える際の資料として活用できているという。
プロットしたことにより、「低身長症の発見につながった」「保護者・学校医・養護教諭で話し合い専門医の診断につながった」「“何となく気になる”から“何が気になっていたのかがはっきりした”」という前向きな回答があがっていた。
気になる児童が多い項目 「むし歯」と「視力」
また、健康診断で気になる項目について質問したところ(複数回答)、むし歯22件、視力21件が圧倒的に多く、アレルギー性鼻炎などのアレルギー症状も気になるものの一つだという。
昨年末に発表された平成24年度の学校保健統計調査速報によると、むし歯は前年度を下回り改善傾向が見られているが、以前ヒアリングした都内養護教諭の話によると「1人あたりの本数が多い」「通知を出しても歯科医院に行かない」という状態があるというから、アンケートで回答があった養護教諭らもそのような状況に悩んでいると考えられる。(後編に続く)
【2013年2月18日号】
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