学校給食では米飯だけでなく、パン食、麺など小麦を使った多様な主食も提供されている。しかし、米の銘柄は「コシヒカリ」「あきたこまち」などよく知られているが、小麦の知識はどうだろうか。小麦食を通じて日本の食卓に笑顔を届けるプロジェクト「コムギケーション倶楽部」が昨年6月13日に設立され、小麦に関する様々な情報が提供され始めた。そこで、日本の製粉技術・小麦事情の最前線を取材した。
港で小麦を荷揚げ |
小麦粉を使ったメニューと言えば、パン、うどん・そうめん・ラーメン・スパゲティなど他にも西洋料理、中華料理、たこ焼き、お好み焼きからB級グルメまで、日常的に口にしている。
小麦は産地や品種・銘柄、等級によりたんぱく質の量と質が異なりグルテンの力に差が出る。製粉ではそれをどのような配合にするかが重要だ。
製粉された小麦粉は、たんぱく質の含有量で、「強力粉」「中力粉」「薄力粉」と大まかに分類され、それぞれに合った食品が決まっている。パンには強力粉、うどん・そうめん、和菓子などは中力粉、ケーキ、カステラ、天ぷら粉などは薄力粉が使われる。他にデュラムセモリナ粉(たんぱく質の多いデュラム種の粗挽き粉)は、スパゲティなどに使われる。
強力粉になる国産小麦の銘柄は、「ゆめちから」「春よ恋」「ニシノカオリ」など、中力粉は国産小麦のうち最多の銘柄があり、「農林61号」「ホクシン」「きたほなみ」「あおばの恋」など。薄力粉、デュラムセモリナ粉は輸入品だ。
日本は小麦の9割を輸入に頼っており、平成23年の小麦の輸入量は557万トン。その輸入国はアメリカ(58%)、カナダ(23%)、オーストラリア(18%)の3国。
昭和産業の巨大サイロ |
では、小麦粉の用途は何が一番多いのだろう。農林水産省の製粉工場実態調査によると、小麦粉の約4割はパン用に使われており、次いで麺類で3割を占めるという。
国内の製粉工場は大小様々、125工場ある(平成18年)。国内最大規模のサイロを有する昭和産業(株)の鹿島工場(茨城県神栖市)は、国内外からの原料調達に有利な臨海地域に位置し、東京から80ワと物流面でも恵まれた環境にある。
製粉工程は、「原料を精選する」「ねかす」「配合機でブレンドする」「段階的に何度も砕く」「振り分ける」など、繊細かつ高水準の技術が発揮され、国内の各食品メーカーの商品に合った高い品質要求に応えている。
東日本大震災後、大規模工場のエネルギー問題が話題に上るが、同工場は自家発電設備により動力、熱源を自給しエネルギー資源の最適な利用も追求している。
コムギケーション倶楽部=http://www.comugication.com/
【2012年11月19日号】