盛り上がった学校祭を挟んだ頃から、心ない言動による人権侵害事象が頻発した。2年生のTくんに対する嫌がらせ、同じくTさんに対するいじめと強要など。いずれも障害をもつ仲間や弱い立場の生徒に対する人権を踏みにじる卑劣な行為だ。
七中は過去にも、幾度の重大な人権侵害事象が生起してきた。その都度事実から課題を明確にし、再発防止に努力してきた。その間、教職員や校長は変遷するものの連綿として「平和と人権を大切にする教育」を推進してきた。それは、あたかもそれぞれ地上に出ている形態・顔や姿は違っても、地下ではしっかりとつながりをもった茎と根をもつ「平和と人権」という地下茎で結ばれている論拠である。
航空界でよく使われる「ハインリッヒの法則」では、一つの大事故の陰に29の小事故があり、さらにその陰に300の異常があるという。「ヒヤリ」「ハット」と呼ばれるその小事故、異常の苦い教訓が十分に生かされてきているかどうか。
失敗情報を隠したがる傾向は、個人にも組織にもある。人格の未完成な思春期真っ只中の中学校生活のなかで起きる些細な変化、異常をいち早くキャッチし交流する大切さは言うまでもない。私たちは決して「マーフィの法則」に則ってはいけない。
今回2年生の重大な事案に関して学年会にも同席させていただき、勝手な意見も言わせてもらい、複数のクラスの学活にも参加させていただいた。当初の生徒たちの姿勢は回を重ねるにしたがい気づき・深めていったように感じます。
故マザーテレサの言葉に「もっとも悲惨なことは、貧しいことでも、病気になることでもない。自分が誰からも愛されていないと感じることです」などがある。ここ一連の事案に接し、思い出した言葉である。今後も私たちは2004年の地下茎として平和と人権を大切にし、すべての生徒たちに温かい心をよせ、地域との関わりのなかから七中づくりを進めていきたいと考えます。
(本連載は、前田校長が2004年より教職員に向けて発信した「校長室通信」をまとめた著書「学校経営の金言・迷言・独り言〜全てを生かす校長室通信」より抜粋/城南中=072・673・4491)
【2012年11月19日号】
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