来春で退職となる大阪府高槻市立城南中学校の前田勉校長(高槻市中学校長会会長)が、校長1年目から教職員に毎週発信し続けた「校長室通信」は、教職員間のコミュニケーションツールとなった。課題校を蘇らせた1年目の通信を連載中。
授業の充実に向けて【9月13日】
病気の種類にもよりますが、最近の医学の考え方では、治療に当たり2通りの考え方があるそうです。悪いところを外科的に取り除いてしまう治療と、患者の内にある免疫や自然治癒力を活かす治療です。ケースに応じて最善の方策を考えることが重要だと思います。
今日の学校教育を考えるときにも、制度や条例などを変更するといった外科的な処置も必要でしょうが、日々教師が行う授業の質を問い続けるという学校に内在する自然治癒力を刺激し、お互いを高め活性化することも、必要だと考えます。
今年度、七中の教育実践も常に「授業の充実」という視点を最重点課題として、継続した取り組みを進めたいと思います。これは単に七中だけの課題でなく、学校・家庭・地域の課題でもあります。校長としてあらゆる機会の中で、重要な議題として問題提起しながら、学力のボトムアップを目指したいです。
授業研究の計画が出て、学期に1回2名で進められます。大きな一歩です。学校によっては年間100回を超える研究授業を行う学校もありますが、七中は七中なりに積み上げましょう。私なりの研究授業の考えた方の一端をまとめます。
(1)研究授業は全員発言が原則に
(2)指導案は特にこだわりません。なくてもいい。教材のプリントがあればマスプリを
(3)授業の下手・上手は問わない。授業の巧拙は「持って生まれたもの」であることを自覚し、「自分らしい授業」を目指す
(4)授業の善し悪しを評価することにあるのではなく、授業の「面白さ」と「難しさ」を共有し合うことにある
(5)今年度の最大の課題は、全ての教師の参加で授業の研修を楽しく展開すること
学校側が内側から変わるために、外科的な処置に加え、自然治癒力を高める取り組みを3年計画ぐらいで企画したいと考えています。(「学校経営の金言・迷言・独り言〜全てを生かす校長室通信」より抜粋/城南中=072・673・4491)
【2012年9月17日号】
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