文部科学省は、中央教育審議会スポーツ・青少年分科会 青少年の体験活動の推進の在り方に関する部会がまとめた「今後の青少年の体験活動の推進について(中間報告)」をHPで公表。9月24日まで中間報告に対する意見を募集している。
中教審は、平成20年5月に「青少年教育特別委員会」を設置して審議を重ねてきた。その後、青少年の体験活動という観点から議論を進めるため、平成23年5月に上記特別委員会を廃止した上で「青少年の体験活動の推進の在り方に関する部会」を設置し、さらに審議を進めた結果、今回の中間報告に至った。
青少年の体験活動 機会が急速に減少
中間報告によると「現在の青少年の体験活動をめぐる状況や課題について」は、都市化・少子化・電子メディアの普及といった社会の変化、公立青少年教育施設の激減、社会教育主事の減少などにより、青少年の体験活動の機会は急速に減少している。
学校現場では、体験活動の重要性が必ずしも認識されていないことが多いとの意見もあり、重要性が認識されている場合でも、教員が様々な課題で忙殺される中、体験活動の機会の確保が十分になされていない現状が指摘されている。
「学校教育における体験活動の推進について」は、学習指導要領では「集団宿泊活動やボランティア活動、自然体験活動などの豊かな体験を通して児童の内面に根ざした道徳性の育成が図られるよう配慮しなければならない」とあり、各学校において、発達段階を踏まえ、教育課程に計画的・効果的に体験活動を組み込むことにより、今後より一層体験活動を充実していくことが必要だとする。
青少年の体験活動の推進のためには、学校教育と社会教育の連携が不可欠であり、目標の共有や発達段階に応じた実践プログラムの整備・普及啓発のほか、学校教育と社会教育をつなぐコーディネーターの配置などの体制整備が求められる。
震災を踏まえ非常時を 想定した体験を実施
「東日本大震災を踏まえた青少年の体験活動について」は、多くの被災者が避難所での共同生活を送る事態となったことを踏まえ、平常時から体育館やテントでの宿泊、野外炊事といった非常時の生活を想定した体験を行う機会を設ける必要があるとする。
そこで、国は学校等を避難所として想定した生活体験等の防災教育プログラムを地域住民や保護者の協力を得て実践する「防災キャンプ推進事業」(平成24年度から実施)の推進と成果の普及に努めていく。
現在、同部会では今回の中間報告に関する意見を9月24日まで募集している。
宛先=郵送:〒100‐8959東京都千代田区霞ヶ関3‐2‐2 文部科学省スポーツ・青少年局青少年課企画係宛、FAX:03・6734・3795、電子メール:seisyone@mext.go.jp(件名は「中間報告への意見」とし、添付ではなくメール本文に意見を記入)
文科省HP=http://www.mext.go.jp/
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なお、本紙6面〜8面内の教育旅行特集で、体験学習、体験活動について各地域の情報などを紹介している。
【2012年9月17日号】