いじめが背景事情とみられる生徒の自殺者事案が発生している。また、昨年発生した東日本大震災や、新学習指導要領の実施により、日々の学校生活においても子どもたちの安全に関して、強化が必要となっている。文部科学省は次代の日本を担う子どもの育成を図っていく上で、その生命・身体を守ることは極めて重要であり、これまで以上に学校、教育委員会、国、さらには家庭や地域も含めた社会全体が一丸となって、いじめや学校安全等の問題に取り組むことが必要と考え、「いじめ、学校安全等に関する総合的な取組方針」を策定した。
●いじめの問題への対応強化
「学校・家庭・地域が一丸となって子どもの生命を守る」「学校・教育委員会等との連携を強化する」「いじめの早期発見と適切な対応を促進する」「学校・教育委員会等との連携を強化する」「学校と関係機関の連携を促進する」の4つのアクションプランを策定。
具体的には、道徳教育やコミュニケーション活動を重視した教育活動、児童会・生徒会における子どもの主体的な取り組み等の推進、幅広い外部専門家を活用し、いじめの問題等の解決に向け調整・支援するための各地域の取り組みを推進していくなど。
推進のためには人材活用が重要となるが、専門家による「いじめ問題等支援チーム(仮称)」を地域に配置、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどを活用した悩みを相談できる体制の充実などを目指す。
●学校安全の推進
アクションプランは、災害安全、交通安全、生活安全の観点から「学校安全に関する教育を充実する」「地域コミュニティ拠点としての学校施設・設備を整備充実する」「学校における安全管理を推進する」「地域社会、家庭との連携体制を構築する」の4つがあげられている。
具体的には、非常災害時の子どもの心のケアの充実や復興教育の推進、通学路の緊急合同点検の実施と対策の検討、スクールガード・リーダーの養成などだ。
●体育活動中の安全確保
体育活動中の事故については、毎年重大な事故が報告されており、安全面でのさらなる配慮や工夫が求められているなか、「国・教育委員会・学校等の連携によって指導者の資質向上を図る」「学校と地域が連携して体育活動への外部指導者の参加を進める」「事故の発生要因の分析等を進め、スポーツ医科学の活用による最新の知識を広げる」「施設・設備の整備による安全な体育活動環境の整備を進める」の4つのアクションプランで進めていく。
具体的には、柔道をはじめとする体育の指導書の作成および配布、武道を中心とする体育の授業への外部指導者の参加促進、現実のデータに基づく事故発生要因等の分析、武道用具など安全な体育活動に必要な教材・用具の整備などを行っていく。
H25度の概算要求と関連項目も多数
平成25年度の概算要求には、地域におけるいじめ問題に関する学校の対応を支援する専門家チーム「いじめ問題等支援チーム」(仮称)の配置や、復興教育の推進、武道を中心とする体育の授業への外部指導者の参加促進など、関連項目が多数盛り込まれている。
【2012年9月17日号】