来春で退職となる大阪府高槻市立城南中学校前田勉校長(高槻市中学校長会会長)が、校長1年目から教職員に毎週発信し続けた「校長室通信」は、教職員間のコミュニケーションツールとなった。課題校を蘇らせた1年目の通信を連載中。
私が大切にしている教育実践の一つに「型はめと評価」という考え方があります。型とは子どもたちを指導・支援する折りに最初に決めるルールのようなもので、決して管理的ではなく、形式的なものでもありません。
先生方にもこんなクラスづくりをしたいとか、理想的な枠組みがあると思います。また、授業でも独自のやり方やスタイルがあり、思いつきや気まぐれで行う人はいないと思います。
私の場合は、学年や学期のスタート時などの節目に際し、例えば「最初にしっかりと人の話は聴きましょう」と型はめをすると、しっかり聴いてくれたときには必ず評価をするようにしています。「しっかり聴いてくれて嬉しく思います」あるいは「集中できていなくて残念に思います」とか、生徒に対して働きかけをしたときには、必ず評価をする。決して言い放しにしません。
授業においても、望ましい授業中のルールを最初の段階でしっかりと癖づけながら、それぞれに応える子や集団が生まれてきたら「○○くん、あるいは○○班すごいね」とそれを評価し、他の班にもやる気を起こさせていき、型はめを通して学習内容に迫る指導へと高めていく手法をとっていました。指導の後の評価は、非常に効果的です。
この「型はめと評価」は授業だけでなく、あらゆる指導・支援場面で活用できると思います。
このところ、1年生の授業態度や生活態度が話題になっていますが、型はめの必要性と信頼関係に裏打ちされた指導が重要だと考えます。意図的・継続的に取り組むことにより、学童期から思春期にわたる難しい年代の子どもたちの精神衛生に大きな効果があると考えています。
ノートの取り方、板書の工夫、班学習の進め方、人の話の聴き方、授業時の姿勢から予習・復習、テストの受け方に至るまで、やれる範囲でやってみませんか。思わぬ効果が実証されると思います。(学校経営の金言・迷言・独り言〜全てを生かす校長室通信)より抜粋/城南中=072・673・4491)
【2012年7月16日号】
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