子どもたちに伝えたい水の大切さとその役割―第一管工

 食への安心・安全が叫ばれるなか、「水」へ対する意識も変化している。宅配水事業を行う(株)第一管工(本社・広島)は、4月に東京都江東区内に「亀井戸良水市場」をオープン。「逆浸透膜(RO膜)」技術を用いて水道水を純水にし、海洋深層水のミネラルを添加した"おいしい水"を提供している。小早川克史代表取締役社長は、「子どもたちに水がいかに大切なものか伝えたい」と話す。

食育

要望で作った4L用(右)と
8L用(左)を持つ小早川社長

 同社は、水道工事の下請け会社からスタートし、逆浸透膜の技術に出会い、水処理プラント業、水自動販売機事業、宅配水事業に挑戦した。それが1990年代後半だったが、当時の日本には水を購入するという概念はほとんどなかった。「アメリカにはロサンゼルスだけで逆浸透膜を使用した30か所の宅配水工場があり、ほとんどのスーパーには逆浸透膜水の自動販売機が設置されていました」

  2000年に入り、広島県のスーパーマーケットに水の自動販売機を設置した。逆浸透膜の技術で水以外の不純物を除去した「純水」。スーパーでよく見られる容器を購入してそれに水を無料で入れる、というものだ。

  その後、日本人のニーズに応えて、海洋深層水のミネラルを添加した有料の水、純水のみの無料の水を1台で対応できる自動販売機を設置。現在では全国のスーパーマーケットに約900台導入されており、軟水、中硬水、硬水、プレミアム硬水の4種類を選ぶことが出来る。

  そして今年4月、江東区亀戸の団地内に「亀井戸良水市場」をオープン。古くから水にまつわる地域で、水神社もあることから出店が決まった。今では近所の子どもたちが、冷えた水を飲みに来る。ここでは、8リットル入りが500円(硬度約10の軟水)とこれまでの宅配水の概念を変えた。

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逆浸透膜装置(奥)を設置し
店舗内で水をボトリング

 「海外の宅配水はとても安く、20リットルがアメリカでは約1000円、韓国では約500円が平均ですが、日本は12リットルで1200円くらいが平均です。日本でもおいしい水を安く提供したかったのです」。

  この安さで提供できるのは、技術屋としての基盤があるからで、ボトリングも全てこの場所でできるからだ。「水の地産地消です。店舗内に工場を置くことで超地域密着型の販売ができます。この地域は高齢者も多いので、安否確認にも役立ちたいと思います」。

  さらに、水の大切さを知ってほしいという思いもある。「日本は食料自給率の低い国。約60%を輸入に頼っていますが、食料を作るには、海外で多くの大切な水を使っています。つまり、水がないと日本人は生きていけないということになります」
世界にはトイレなど適切な衛生施設を利用できない人が26億人、安全な飲料水を利用できない人が8億人いるとされている。同社はそれらの解決に取り組む日本水フォーラムに所属し、売り上げの一部を寄付している。「子どもたちに日本、世界の水事情を伝え、水の大切さについて感じてほしいので、希望に応じて出前授業もお受けしたいと思います」(東京・広島)

 

【2012年7月16日号】

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