「東日本大震災における学校等の対応等」まとまる

 文部科学省は、平成23年3月11日に発生した東日本大震災における学校等の対応等に関する調査報告をまとめた。調査対象は、岩手県・宮城県・福島県の3127校。

  調査によると、地震によって児童生徒等に人的被害のあった学校は10校で0・4%、建物等に物的被害があった学校は校舎や体育館などの建物で77・2%、備品などは68・7%。

  津波によって児童生徒等に人的被害があった学校は(対象校149校)、30校で20・1%、対象校の87・9%に津波が到達しており、校舎への浸水は半数以上の52・7%となった。

  また、地震発生時の避難について危機管理マニュアルで行動を規定していたかという設問には、91・5%が「規定していた」と回答。それにより安全にスムーズに避難できたものの、地震の規模が大きく現在のマニュアルでは対応が困難であったこと、停電や通信網の遮断等に対応できなかったことが課題や反省点としてあげられた。

  各学校等における防災教育の実施状況は、「災害からの身の守り方」に関する指導が82%と圧倒的に高い割合を占め、沿岸部においては内陸部よりも「地域で過去に発生した災害」「地域で起こるとされている災害」へ対する指導の割合が15ポイントほど高い。

  また、学校等が避難所として利用された割合は30・6%となったが、沿岸部に関しては50・7%と(内陸部18%)となっている。教職員が主体となって従事した避難所の運営業務は、「避難所内及び関係機関との連絡調整」が77%、「物資配布」が72・6%、「避難所管理」が69・3%だ。

カウンセリングの必要性 時間の経過とともに増

カウセンリング要する高校生は18%

  震災後の児童生徒等について、学校再開後にカウンセリングが必要となった児童生徒等が「いた」割合は全体で18・8%、沿岸部は29・2%と3割近い。その対象で最も割合を占めているのが、高校と特別支援学校の25・6%で、小学校は23・4%となった。

  現在(平成24年1月時点)でカウンセリングが必要な児童生徒等がいる学校は、全体で9%。これも沿岸部の割合が高く、また高等学校では依然として高い18%で、中学校においては震災後小学校より低い16%であったのに対し、1月時点は11・1%と高校生の次に高い割合だ。

  これについて文部科学省は、学校等によっては、震災直後よりも時間の経過とともに心のケアが必要な児童生徒等が増加しているとの報告も見られ、日頃からの児童生徒等の健康状態を観察し、情報の共有化などにより早期発見に努め、適切な対応や支援を行っていくことが重要としている。

 

【2012年6月18日号】

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