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連載 小学校外国語活動元年に向けて

小学校外国語活動元年に向けて (5)
積極的な日本語使用で進める外国語活動

暁星小学校 英語科主任 岡澤永一氏

岡澤永一氏
暁星小学校 英語科主任 岡澤永一氏

  外国語活動(以下、英語活動)における教師の重要な役割のひとつは、いつでも正しい英語を児童に提供することです。しかしこれは、45分間、英語しか使ってはならないという意味ではありません。たしかにねらいとする表現は、必ず英語で児童に提供するべきです。ただ、適切な表現が思いつかないにもかかわらず、単語を寄せ集めて“英語っぽい”ことばで対処しようとすれば、文法的に間違った表現を児童に聞かせることになります。英語にふれ始めの児童にその正誤の判断は難しく、教師の誤った英語を見本としてそのまま吸収してしまう危険性があります。判断に迷う場合は、「ねらいの表現以外は日本語」くらいの気持ちで対応しましょう。

  また、あえて日本語で対応するほうが児童にとって有益な場合もあります。ひとつは、児童を評価する場面です。たとえば、活動中、我々教師が心動かされるような発言を児童がしたとしましょう。それに対し、教師の気持ちを英語で説明しても児童は困惑するだけですし、“Good!”一辺倒では細部を表わせません。このような教師の感動は、もっとも伝わりやすい日本語で表現するのが一番です。ほめられた児童は自分がどの点で評価されたか納得し、他の児童は英語活動で求められる反応を認識できます。

 もうひとつは、児童の理解を補助する場面です。ある児童に“What birds cannot fly?”と質問したとします。その児童が心もとない様子であれば、教師が「スズメは飛べるなぁ」などと質問と関係する内容を日本語でつぶやくことにより、児童は自分の理解を確認し、自信をもって答えるでしょう。すでに不安な児童に英語でそれ以上のヒントを与えても、気持ちを委縮させる一方です。大切なことは、日本語で児童の背中を軽く押し、彼ら自身に「自分で答えを見つけて言えた」という意識をもたせることです。なお、質問の直訳は、その場では児童に理解を促したような気になりますが、続けるうちに児童が英語ではなく日本語だけを聞くようになるため、絶対にやめてください。

  「英語活動の時間なのに日本語で話しかけるなんて」と心配する必要はありません。状況に応じた日本語使用は、児童とのやりとりを円滑に進めると同時に、活動内の良質な英語の割合を高めるのです。正しい英語と効果的な日本語で、彼らの英語活用能力やコミュニケーション能力を育成しましょう。

(次回は3月5日号掲載)

【プロフィール】
岡澤永一氏: 暁星小学校英語科主任。外国語教育メディア学会関東支部早期外国語教育研究部会主任。第三回マルチメディア学習教材活用国際コンテストにて国内最優秀賞受賞。著書に『小学校英語 with 電子黒板』(ドリマジック社)がある。

(1)外国語活動、担任主導こそが理想
(2)外国語活動の成否握る英語の質
(3)良質な英語で進める外国語活動
(4)児童と担任とのやりとりを柱にした外国語活動
(5)積極的な日本語使用で進める外国語活動
(6)担任中心の外国語活動の実施


【2011年2月5日号】


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