暁星小学校 英語科主任
岡澤永一氏 |
外国語活動(以下、英語活動)の目標は、コミュニケーション能力の素地育成です。そのためには、児童が学習を意識せず英語にふれられる"やりとり"を柱とした活動が適しています。児童は担任との自然なやりとりから、英語表現を蓄積し、最終的に英語をコミュニケーションの手段として扱うことができるようになるのです。しかし、"やりとりのための準備"として、担任とALTによる手本の提示や単純な繰り返し練習などがいまだに広く行われています。それでは、英語活動の目標達成には程遠い状況であると言わざるを得ません。45分間の英語活動が有意義なものとなるよう、以下を意識したやりとりを行いましょう。
やりとりは常に、児童が心から「聞きたい」「答えたい」と思える題材で進めなければなりません。興味のもてない題材でやりとりを行っていても、児童の心が動くことはなく、「聞かされている」「やらされている」という受け身の感情を抱くのみです。クラスの流行や児童の嗜好を熟知している担任による題材選択は、それだけで彼らの活動意欲や集中力を引き出します。これが、やりとりの大前提です。
言語的ねらいのパターン化も重要です。パターン化されたやりとりを流れの中で繰り返し耳にすることで、児童の文意文型理解は深まり、担任からの問いかけに自信をもって返答できるようになります。担任にとっても、限定された英語で行われるやりとりは、精神的負担を軽減し、一層児童に注意を向けられることでしょう。
また、それを児童に提示する方法としては、活動のはじめに、担任が英語の得意な児童と、日常会話のようにパターン化されたやりとりを行うことをお勧めします。他の児童はそれを見て、自然に担任の意図とパターンを理解するのです。わざとらしいスキットや日本語による説明などは一切必要ありません。
このようなやりとりは、担任が用意した状況の下、言語的ねらいを組み込んだ表現で行われるため、中学校以降の英語授業でみられる文型練習と変わらないと思われがちです。しかし、上記をふまえれば、児童は学習を意識せず、それぞれがやりとりの主役として活き活きと英語を使うことができます。そこが文型練習との大きな違いです。担任は、このような心が動くやりとりを重ね、児童のコミュニケーション能力を育てていきましょう。
(次回は2月5日号掲載)
【プロフィール】
岡澤永一氏:
暁星小学校英語科主任。外国語教育メディア学会関東支部早期外国語教育研究部会主任。第三回マルチメディア学習教材活用国際コンテストにて国内最優秀賞受賞。著書に『小学校英語 with 電子黒板』(ドリマジック社)がある。
(1)外国語活動、担任主導こそが理想
(2)外国語活動の成否握る英語の質
(3)良質な英語で進める外国語活動
(4)児童と担任とのやりとりを柱にした外国語活動
(5)積極的な日本語使用で進める外国語活動
(6)担任中心の外国語活動の実施
【2011年1月1日号】