アジアの産業拠点として大きく成長を続ける福岡県。県内には、近代産業遺産から成長産業まで多くの産業学習素材がある。
かつて、「黒ダイヤ」と呼ばれる石炭の一大産地であった筑豊地方や大牟田市。この地域は、日本で初めてユネスコ世界記憶遺産に登録された山本作兵衛氏の炭坑記録画を収蔵する田川市石炭・歴史博物館、平成27年の世界文化遺産登録を目指す三池炭鉱宮原坑跡など、日本経済を支えた石炭産業に関する学習素材の宝庫だ。
また、福岡ではアジアをリードする最先端の技術も学習できる。トヨタ・日産に代表される自動車産業、安川電機を筆頭とするロボット産業、エコタウンに代表される環境産業がその代表例だ。
これら素材を基に、近代化から現在に至る産業のストーリーを教育旅行で組み立てられる。
問合せ=092・643・3429(福岡県観光・物産振興課)
海洋温度差発電における世界唯一の実用実証プラントが、沖縄本島から西に約100キロメートルの久米島で動き出した。海洋深層水の取水管がある久米島に発電所が建設されたが、これは佐賀大学などと連携し、世界に先駆け成功したものである。
佐賀大学海洋エネルギー研究センター伊万里サテライトは、平成15年3月に現在の伊万里市山代町に移転した。伊万里サテライトは、実験棟および研究棟からなり、建屋面積4500平方メートルの鉄筋三階建て、敷地面積は約1万平方メートルと広い。
また、総工費約45億円と、センターサテライト施設としては世界的にも有数の施設として期待されている。
研究センターでは、エネルギー環境教育の推進等を目的に、研究者の説明を受けながら、センター内の各施設や実動するプラントモデルの見学が可能だ。
問合せ=0952・26・6754(佐賀県観光連盟)
Nagasaki Archive制作委員会は、グーグルアースを活用した被爆体験アーカイブ「Nagasaki Archive」を、一昨年に大幅にバージョンアップし、平和学習など、教育現場でも幅広く利用されている。
このWebは、長崎における被爆者の顔写真と体験談、そして被爆当時から平成22年に至る風景をグーグルアース上で世界に伝えるもので、平成22年より公開。
バージョンアップ後は、長崎原爆資料館、高校生1万人署名活動実行委員会らの協力を得た証言資料の拡充、インターフェース・デザインを刷新することによる使いやすさの向上、iPhoneとiPadアプリの提供で「自分の身の回りにある被爆資料」を現地で閲覧することができるようになった。
問合せ=095・826・9407(長崎県観光連盟法人旅行部教育旅行課)
大分県の教育旅行プログラムは、人との繋がりの中で「生き抜くチカラ」を育むことを主眼としており、主に2つの柱を据えている。
1つめの柱である農村民泊は、終始1つの家庭で体験・宿泊を行う「大分方式グリーンツーリズム」で、人との絆や温もりを強く実感することができるのが特徴だ。
県内約300軒の受入家庭は、全て旅館業法上の許可を取得し、安全・安心で質の高い受入体制を整えている。
2つめの柱であるグローバル人材育成プログラムは、大分県に在住する数10カ国の留学生と共に、世界の国々の価値観を生徒自らが考え、学ぶことでグローバルな視野を広げることを目的としている。
このような環境で学ぶことで気づきを与え、目まぐるしく変化する現代社会への対応力を高める教育旅行を実現する。
問合せ=0977・26・6250(ツーリズムおおいた)
日本三名城「熊本城」での歴史文化学習や、阿蘇の大草原で行う「ホーストレッキング(乗馬)」など、熊本県内には教育旅行に最適な素材が多数揃っている。
また、産出額全国第5位の農業県であり、天草地方などには昔ながらの伝統漁法が今も残る。
熊本県と(公社)熊本県観光連盟では、熊本県の多彩な魅力をこれまで以上に感じてもらうため、地域住民との交流をテーマとした「熊本型教育旅行」を、観光施設、ホテル・旅館、市町村等と連携して、今まさに進めている最中だ。
「熊本型教育旅行」の一例として、宿泊ホテルの夕食会場には、昼間の農業体験でお世話になった地元の農家のお父さん、お母さんに来てもらう。そこでは、さらに交流を深めながら体験の振り返りを行うプログラムがあげられる。
関係者が一体となり進める、「生きる力」を養うための新しい取り組みに注目が集まる。
問合せ=096・333・2335(熊本県観光課)
太陽の恵みをうけた「エコ」「食」「スポーツ」の3つの学びをテーマにした学習素材が揃う。
まず、「エコ」を考える学び。年間の日照時間と快晴日数が日本トップクラスという環境を活かした最先端の太陽光発電技術や、宮崎ならではの貴重な動植物の生態について学ぶ。
そこでの気付きが、自然を大切にしようという意識の高まりに繋がるだろう。
農業王国とも言われる宮崎県では「食」を多角的に学ぶことができる。最先端農業技術を学び、実際に農家を訪れて農作業を体験。
毎日当たり前のように口にする食べ物と、その生産に携わる人々に対する感謝の気持ちを育むことができる。
海あり山ありの宮崎県は、アウトドアスポーツのメッカでもあり、「体で感じる」スポーツ体験もおすすめ。
サーフィンなどのマリンスポーツやトレッキングなどを通じて、自然の豊かさ、力強さを体感する。
問合せ=0985・26・6100(みやざき観光コンベンション協会)
鹿児島で行う教育旅行の魅力の一つは「多彩な自然」だ。
南北約600キロメートルに及ぶ広大な県土には、源泉数2位を誇る温泉や日本初の国立公園「霧島」、世界自然遺産の島「屋久島」、亜熱帯の動植物とサンゴ礁が広がる「奄美の島々」がある。
その中でも、昨今注目すべき学習素材は、鹿児島市街地の眼前に広がる「桜島」だ。
噴火の歴史やメカニズムを学び、活火山のエネルギーを体感できるこの桜島は、世界的にも希少な活きた火山を間近で観察できる「自然の博物館」と言えるだろう。大自然を使った様々なプログラムも用意している。
その他、幕末、明治維新に関する史跡を巡る「歴史学習」、知覧・鹿屋などから飛び立った若き特攻隊員の手紙に学ぶ、知覧特攻平和会館や鹿屋航空基地史料館での「平和学習」などもある。
教育旅行素材が豊富な鹿児島県で行う教育旅行で、一生忘れられない思い出を作ってほしい。
問合せ=099・223・5771(鹿児島県観光連盟)
【2014年9月15日号】