修学旅行研究会(修旅研、代表=廣渕徹志・横浜市立西本郷中学校長)の今年度第3回研究会が昨年11月20日、横浜市立横浜吉田中学校で開催され、今年度実施された航空機利用による市立中3校の北海道、九州、沖縄への修学旅行の事例発表が行われた。諸物価、燃料代等の高騰が続く一方、急激なインバウンドの拡大でオーバーツーリズムが発生するなど、教育旅行には厳しい現状だが、生徒たちの好奇心や学びを刺激する教育旅行への、熱意がこめられた実践だった。
航空機を利用した3校が事例を報告した
上郷中学校は昨年6月、北海道で2泊3日の修学旅行を実施。併設型小中学校で、9年間を通す独自教科「いきる科」を設定。地域から課題を発見し解決への手段を調べ発表し後輩に伝える。4クラスをバス3台に詰め込む等の努力で費用を抑え、7万2000円で収められたという。勝俊一校長が報告した。
早渕中学校は昨年6月、九州(長崎着・佐賀を経由・福岡発)の修学旅行を2泊3日で実施。佐賀の2泊目は民泊体験を組み入れ、生徒は49家庭に分宿。「現地のお父さんお母さんとの触れ合いを大事にしたいため、あえて教員の巡回をせず各家庭にお任せした」と小田切敦校長。長崎での平和学習は、オンラインの事前学習で長崎語り部から学び、現地での時間を有効活用するなどの工夫で、学校から空港の往復はバスを利用したが旅行費用は6万7000円に収められた。
南中学校は昨年5月、平和学習と現地中学生との同世代交流を主軸とした沖縄修学旅行を実施。そのあらましを藤宮学校長が報告した。1945年5月の横浜大空襲の被災者住宅に隣接して開校した同校。校区には空襲で亡くなった人を慰霊する平和祈念碑もある。そのような地域の歴史を学ぶことから、平和学習は全校をあげての道徳に位置付け。沖縄県人会を通じ現地の中学校とは早くから交流があり、オンラインで交流が深められた。修学旅行での対面では一緒に料理を作り、民謡を踊った。同世代が語る平和への言葉がささったという。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2025年2月17日号掲載