北海道と(公社)北海道観光機構は2024年12月、東京と大阪で「北海道教育旅行説明会・相談会」を開催。歴史や自然など多様な学習要素がある北海道の魅力を紹介したほか、教育旅行の支援事業などについて説明した。
学芸員・池田氏が学びどころをプレゼン
12月18日に開催された東京会場では、冒頭に北海道観光機構・プロモーション部の栩原幸志担当部長から北海道の教育旅行の特徴として「教育旅行に求められる、SDGsや課題解決型学習、歴史や北方領土問題など、多くの学習素材がある」と語った。プレゼンテーションでは一般の旅行とは違う、教育旅行だからこそ訪れることができる場所や経験がある北海道ならではの魅力が発信された。
北海道教育アドバイザーで(一財)北海道歴史文化財団学芸員、元・北海道博物館学芸部長の池田貴夫氏は『せっかく北海道さ来たんだら○○○○していきな』と題し、”○○○○”に当てはまる言葉を考える7つのセッションを来場者に問いかけるスタイルでプレゼン。北海道の教育旅行の見どころ、学びどころ、感じどころを簡潔に紹介した。
北海道は1869年(明治2年)に「北海道」の名称がつけられ、本格的な開拓が開始。その後の150年の歴史、自然と人・アイヌの人々との共生の大切さ、北海道と関東のつながり、地名の特色からわかることといった話題に触れた。
また日本の住宅は夏を基準に作られているが、北海道の場合は屋根に降り積もった雪が自然と地面に落ちるよう、三角屋根住宅になっている。地域独自で開発された飲み物や食べ物もあり、「北海道の暮らしに興味関心を持って市街を歩いてみてほしい」と語った。
北海道旅客鉄道(JR北海道)の鉄道事業本部東京営業部外販グループの和氣慎太郎氏は、北海道新幹線を利用した修学旅行を提案。歴史学習の舞台として「アイヌ・縄文・幕末」に注目し、函館市内での学びを中心としたプログラムを紹介した。函館市内は公共交通機関の混雑が少なく、市電・バスの1日乗車券での自主研修が可能だ。JR北海道では、青函トンネルの歴史や北海道新幹線の概要など、学校への出前事業も行っている。
「修学旅行連合体輸送列車計画」の北海道コースでは、5~6月、9月に運賃や特急料金の割引が適用となるため、中学校修学旅行の場合、東京から新函館北斗駅間の往復が1人約2万3000円程度で利用できる。
北海道では、道外の中学校・高等学校の教職員を対象に、修学旅行の下見の助成を実施しており、例年5月中旬ごろから申請を受け付けている(2024年度は予算上限に達したため終了)。また修学旅行出発前の事前学習に取り組んでいる学校に向けて、北海道教育アドバイザーの派遣を行うほか、オンラインでの事前学習にも応じている。他にも全国各地での説明会・相談会の実施、パンフレットの提供なども行っている。
■教育旅行情報サイト(http://hokkaido-syuryo.com/)では、各種支援事業の案内、事前学習資料、モデルコースやエリア別情報などが掲載されている。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2025年2月17日号掲載