約3年の長期に及んだ新型コロナウイルス感染症対策が緩和され、修学旅行などの学校行事も従来の姿に戻りつつある。本格的な修学旅行シーズンがGW明け早々に到来。JRの団体輸送の実施で関東からの出発点となる東京駅では、関係者の無事を願う出発式が続いた。
関東地区公立中学校修学旅行委員会(事務局:公財・全国修学旅行研究協会=全修協)は、関東5県(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉)の公立中学校の修学旅行・計画輸送が今年度も行われるにあたり、2023年度修学旅行出発式を5月9日、東京駅で開催した。出発式には7校・1000人余りの生徒が参加、各校の生徒代表からJR東海関係者らに感謝の花束が贈られた。
出発式は東海道新幹線出発ホームで行われ、土浦市立土浦第一中学校(茨城県)、常総市立水海道中学校(同)、宇都宮市立星が丘中学校(栃木県)、真岡市立物部中学校(同)、小山市立小山中学校(同)、千葉市立白井中学校(千葉県)、習志野市立第五中学校(同)の計7校・1039人が第一陣として修学旅行専用列車で関西方面に出発。修学旅行専用列車「のぞみ299号」に乗り込んだ。
関東地区公立中学校修学旅行委員会運営委員長の浦安市立日の出中学校・鳩岡和則校長は「3年半にも及ぶ新型コロナの影響で学校でも多くの行事が制限された。昨年からは少しずつ復活し、今後は無事に行われると思う。生徒の皆さんは修学旅行を通じて知識を広げるとともに多くの人と関わり、仲間との思い出をたくさん作ることを願う」と言葉を送った。
続いて全修協の岩瀬正司理事長は「3年前、本格的に新型コロナが流行した頃は多くの中学校が修学旅行を取りやめた。修学旅行は多くの人の協力のもとで実現する。そうした意味からも修学旅行を支えてくれる人たちに感謝し、お金では買えないお土産を持ち帰ってほしい」と述べた。
生徒を代表して習志野市立第五中学校の中郷美晴さんは「コロナ禍で中学校生活の様々な行事が中止や縮小に追い込まれてきた。そうした中、修学旅行が無事に実施され、ほぼ規制のないものとなることに大きな喜びと感謝を感じずにはいられない。京都・奈良の文化や歴史を肌で感じながら、最高の思い出を全員で作り上げて帰ってきたい」と力強く語った。
関東地区公立中学校修学旅行委員会によると、今年度は5県で関西方面へ719校・10万3485人、その他の方面(北海道、東北、長野、北陸)は28校・4633人で合計747校・10万8118人が計画輸送での修学旅行の実施を予定している。
東京都中学校長会修学旅行対策委員会(事務局:公財・日本修学旅行協会=日修協)は5月9日、大田区立大森第六中学校が都内の中学校としては東北方面の修学旅行の今年度第一陣として出発するにあたり、東京都公立中学校修学旅行連合体輸送列車出発式を開催。生徒からJR東日本関係者に感謝の気持ちを込めて花束が贈られた。
丸の内地下の学生団体待合で行われた出発式では、生徒を代表して同校の出石奈緒子さんが「私たちは1年生の時に移動教室が中止、2年生では運動会が直前で延期となるなど、コロナ禍により何もかも奪われた。縛られていた生活がようやく緩み、マスクも外せる状態になった今、この修学旅行を迎えられた。はじめての宿泊行事、はじめての仲間と過ごす夜など、はじめてのことがいっぱい。時間を巻き戻すことはできないが、今できることを楽しみながら最高の修学旅行をつくりあげたい」と喜びを伝えた。
JR東日本を代表して東京駅の髙島剛副駅長は「今日という日を迎えられ本当にうれしい。東京駅も先日までのゴールデンウィークで多くの利用者を迎えたが、その顔には多くの笑顔があふれていた。みなさんの顔も笑顔が見える。岩手で民泊を体験するそうで、地域の方と交流を深め色々な体験してきてほしい」と送り出した。
生徒たちは東京駅を9時40分発の東北新幹線「やまびこ55号」に乗車し、2泊3日の岩手への修学旅行に出発した。
東京都中学校長会修学旅行対策委員会(事務局:公財・日本修学旅行協会=日修協)は5月16日、都内の中学校が関西方面の修学旅行の第一陣で出発するにあたり、東京駅で出発式を開催した。感謝の気持ちを込めて生徒代表からJR東海関係者に花束が贈られた。
東京都中学校長会修学旅行対策委員会委員長の葛飾区立本田中学校・光山真人校長は「本日を皮切りに秋にかけ都内から毎日1000人以上が修学旅行に出発して良い思い出を作る。みなさんもケガのないよう気を付けて修学旅行を楽しんでほしい」とあいさつした。
生徒を代表して葛飾区立本田中学校の五島楓さんは「修学旅行に行くことを楽しみに、事前学習で京都や奈良について仲間と協力して調べた。計画を作ってくださった先生方、交通機関や旅行会社、宿泊施設の方々など多くの人に支えられている。3日間でたくさんの思い出をつくろうと思う」と元気に応えた。
旅の安全を願ってJR東海東京駅長の小笠原均氏は「JR東海では『会いにいこう』というメッセージを発信。旅先での人との出会いが一番の思い出となる。多くの人と出会い、やさしさに触れることもあると思う。心に残る修学旅行を楽しんで」と語り見送った。
この日は墨田区立文花中学校、江東区立亀戸中学校、同砂町中学校、江東区立第四砂町中学校、葛飾区立立石中学校、同本田中学校、同堀切中学校、江戸川区立松江第四中学校の7校計1137人が「のぞみ9309号」で出発した。
同修学旅行対策委員会によると、都内公立中学校で修学旅行専用列車(東海道新幹線)を利用するのは、今年度は463校・6万7836人、一般客と混乗運行する定期新幹線は東海道新幹線が11校・202人、東海道・山陽新幹線が12校・1674人、東北新幹線が4校・546人、上越新幹線が1校・19人、北陸新幹線が9校・845人、東北・北海道新幹線が2校・270人で、合計498校・7万1392人が利用する。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2023年6月19日