発泡スチロール(EPS)は、少量の原材料から製造することができ、保冷性や断熱性、緩衝性等の優れた特性を活かすことで、環境保全等に役立てることができ、さらに高いリサイクル率を誇る。この特性を子供たちに伝えるため、発泡スチロール協会は環境学習や体験学習、出前授業等を実施。コロナ禍で開催が難しい時期もあったが、今年度の実施回数は昨年度を上回った。環境学習への注目の高まりも背景にあると思われる。
同協会は以前から発泡スチロールについて学ぶ体験学習の場を設け、修学旅行生や校外学習の児童生徒を受け入れてきた。コロナ禍で実施が困難となる中でも、2021年度は都内中学校1校でリモート授業を実施。さらに今年度は全国の中学校や高等学校9校、生徒73名が、修学旅行の班別行動の一環として東京・千代田区の同協会を訪問している。訪問校が再び増加したのは、リアルに体験することの重要性がコロナ禍により改めて認識されたこと、さらに環境学習への関心の高まりが背景と考えられる。
日本修学旅行協会の『教育旅行年報データブック2022』によると、2021年の修学旅行の『旅行内容』における「環境学習」に取り組んだ学校数の順位は上昇しており、2021年度は中学校で10位(2019年度は24位)、高等学校は14位(2019年度17位)。自然災害の多発とSDGs意識の高まりが主要因と考えられる。
発泡スチロールの特性を学ぶ体験学習は、講義に加え、原料樹脂を加熱して観察するなどの実験を行う。“卵を発泡スチロールに落としてみるとどうなるか”など、体感しながら理解を深め、地球温暖化対策や発泡スチロールの再資源化について考えるものだ。
現在、使用済みの発泡スチロールは90%以上の有効利用率となっている。同協会では「発泡スチロール処理の方法は自治体によってさまざま。訪問校の所在地がある自治体の状況に合わせて、体験学習の内容も調整し“その日から資源リサイクルを実行して下さい”と児童生徒の皆さんに伝えている」という。
なお同協会事務所はJRおよび東京メトロ秋葉原駅から徒歩3分の立地で、近隣の電気街商業施設と併せて訪問する生徒も多いという。
同協会では会員企業に対し、発泡スチロール製造工場見学の積極的な受け入れを推奨し、助成事業を行っている。全国各地にある工場で、2021年は6社8件、2022年度は1月末現在で9社13件が見学会を実施した。主に地元の小・中・高等学校が校外学習で訪れ、製造工程を見学するほか、仕事について学ぶキャリア教育としても好評だという。
■体験学習・工場見学等についての問い合わせ=発泡スチロール協会℡03・3861・9046 HP=https://www.jepsa.jp/
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2023年2月20日号掲載