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教育旅行

天守閣の公開は昨年再開 熊本県が復旧・復興の現状報告

2022年10月17日

2016年4月の熊本地震から6年、教育旅行でも多くの学校が親しんだ熊本城をはじめ、広範な地域に甚大な被害がもたらされた。しかし熊本城は2021年6月から天守閣の内部公開が再開されるなど、2037年の完全復旧を目指して取組は着々と進められている。同県が「復旧・復興、これからの熊本」と題して9月末に発表した「創造的復興」から、最新状況の一部を紹介する。

2018年3月、復旧工事が進む熊本城天守閣を遠望

2018年3月、復旧工事が進む熊本城天守閣を遠望

【熊本城の復旧】

重要文化財建造物13棟全てと天守閣等の再建・復元建造物20棟全棟が被災した熊本城。同県のシンボルであるばかりでなく、教育旅行のメッカでもあった。

石垣の一部も崩落するなど大きな被害をうけたが、復旧が進み20206月から特別見学通路を活用して特別公開が始まり、さらに昨年6月には5年ぶりに天守閣の内部公開が再開、最上階からの眺めを楽しめるようになった。また来年度には重要文化財の監物櫓(けんもつやぐら)の復旧が完了する予定。完全復旧には2037年度が見込まれているそうだ。

【阿蘇へのアクセスルートの回復】

地震による大規模な斜面崩壊で、阿蘇への主要ルートだった国道57号、325号阿蘇大橋が通行止めに。202010月に、絶景ルートで知られる57号現道部と、自動車専用道路として北側復旧ルートが同時開通した。

昨年3月には新阿蘇大橋が開通し、阿蘇方面への道路の復旧が完了。同じく斜面崩壊で不通だったJR豊肥本線は20208月に全線運行が再開。トンネルや橋梁に被害が発生し一部区間で運休している南阿蘇鉄道も今年度中に復旧工事が完了。来年夏頃までに全線運行再開とJR豊肥本線への乗り入れを目指すという。

【阿蘇くまもと空港・新旅客ターミナルビル】

来年323日開業を目指し建設工事が進む新旅客ターミナルビル。国内線・国際線が一体で、共用の滞在型ゲートラウンジや商業スペースが整備される。

隣接地には地域に開かれた商業施設が整備され、旅客機利用者だけでなく地域の人たちも楽しめる場となる。

【益城町の復興】

2度の震度7の地震を経験した益城町は、倒壊した家屋等で県道がふさがれ、救助活動に支障が発生。そこで町内主要道路を4車線化し歩道を広く設けるなど2025年完成予定で整備中。58の町有施設中、48施設が被災したのを受け、被災後は防災機能を強化した区画整備事業を2027年度に完了予定。益城町復興まちづくりセンターは今年3月開所、益城町新庁舎は来春に完成が予定されている。

【後世に語り継ぐ】

  • 熊本災害デジタルアーカイブ∥熊本地震関連の資料を、行政機関、大学、企業、団体などの協力を得て収集・整備・蓄積し、Webサイトで公開している。今後の防災・減災対策、教育・研究、啓発ツール制作に活用できる。20223月末現在で約21万点の資料を掲載している。
    https://www.kumamoto-archive.jp
  • 熊本地震震災ミュージアム「熊本地震 記憶の廻廊」∥熊本地震の記憶を後世に伝えるため県と関係市町村が、県内に点在する震災遺構や情報発信の拠点をフィールドミュージアムとして整備・公開が進められている。旧東海大学阿蘇キャンパス内の震災遺構は、地域の新たな観光スポットになり、20208月の一般公開から今年7月末までの約2年間に、延べ87000人を超す。

来年夏には、自然の脅威や災害への備えなどを学べる体験・展示施設を同キャンパス内にオープンする予定だという。

熊本県は被災直後から「創造的復興に向けた重点10項目」を策定。震災を風化させることなく復旧・復興に力を注ぎ「誰一人取り残さないくまもとづくり」を掲げて取り組んでいる。

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年10月17日号掲載

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