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教育旅行

新たな修旅の意義を問う コロナ禍と修旅、データから検証~第39回全国修学旅行研究大会

2022年8月17日

「『学びの集大成を図る修学旅行』―コロナ過、そしてもう一つの特色ある修学旅行」を大会テーマに、第39回全国修学旅行研究大会(公財・全国修学旅行研究協会主催、文部科学省他後援)が7月22日、都内で開催された。コロナ過が修学旅行に与えた影響をデータで振り返りながら、新たに見えてきた意義や課題を、事例発表や講演で検討する内容。完全リモート配信だった昨年からハイブリッドとなった今回は、一呼吸ついた開催となった。

開会のあいさつをする全修協の岩瀬理事長

7波の拡大が懸念される中での開催で警戒感は緩められない一方、3年ぶりに専用列車による団体輸送が始まり、今後の明るい見通しが少しずつできてきた修学旅行。大会も3年ぶりで入場数を抑えながらも対面による会場開催となり、各自治体と教育旅行関係者のブースや参加者同士で、あいさつや名刺のやり取りなどが見られた。

開催のあいさつで「『修学旅行の灯は消さない』と同時に、研究大会の灯は消さないことが私たちの至上命題。そして修学旅行は学びの集大成として捉えている」と同協会の岩瀬正司理事長。文科省初中局の清重隆信児童生徒課長も「非日常の時間空間を作り出す最たるものが修学旅行。実施に向け最大限の努力をされた学校や保護者、旅行関係者に感謝したい」と述べた。

■旅行方面は多岐に

コロナ過の影響は修学旅行の中止や縮小だけでなく、行先方面の変容という点で大きな変化が見られたことなど、同協会調査研究部長・石原輝紀氏が2020年度「コロナ禍と修学旅行」と題し、同協会が行った全国公私立中・高校の修学旅行実施状況調査データに基づいて発表した。

私立の4割近く、公立でも12%を超えていた海外修学旅行。ピークだった2018年度は公私立合計962校・168881人が参加し、1000校超えが目前とされていた。しかし2019年末から始まり20202月から国内も感染拡大、3月にWHOがパンデミック宣言したコロナ禍の影響を全面的に受け2020年度からはほぼゼロ。中止や国内への行先変更となった。

2020年度の修学旅行実施率は、高校が313%で参加生徒数252800人、中学が56%529000人。推計で高校62万人、中学43万人の参加が失われたことになる。

実施校の内容をみると、2019年度までの行先で高校は沖縄・近畿が各20%強、関東が17%、海外が11%などの構成だったが、2020年度は沖縄23%、近畿51%、関東08%などに減少。各方面に分散化した。中学も同様で、県内や近隣への変更が多く見られたことが特徴的。

また石原部長は内容の多様化を「代替行事」として紹介。ビデオ会議システムを活用した「リモート修学旅行、全貸切りバス移動、県内食材、県内宿泊などの「地元再発見修学旅行」、「クラス別旅行」「バーチャル修学旅行」「遊園地・水族館等貸し切り」などの工夫がみられた。

■原点に立ち返る修旅

実践事例は「もう一つの特色ある修学旅行」と題して、世田谷区立三宿中学校(夜間中学校)の修学旅行の実践を、当時の同校長・牧野英一氏(現・練馬区立開進第二中学校長)が発表した。

夜間中学校(中学校夜間学級)の設置数は全国40校。都内に8校あるうちの1校が同校で牧野氏は校長を8年間務めた。生徒の年齢層は10代から80代まで広く、出身・国籍は世界10か国にわたるため、多様な文化と価値観と共存していくことが求められる。

このような現状を踏まえて同校の修学旅行の目的は、体験を通して「なぜルールとマナーが大切かを学ぶ」「他社へのリスペクトを学ぶ」ことにあったと牧野氏。学校の存在意義も同様であるが、修学旅行がその集大成として位置付けられる。

直近で実施できた修学旅行には生徒約20人が参加。旅行の期間を通じて、高齢者の移動に若者が荷物を持ち歩調を合わせる場面、高齢者が人生の経験や知識を生かして若者に見学先の説明をする場面などが多くみられたという。

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