今年3月に予定していた2年生の沖縄修学旅行が緊急事態宣言の延長により中止になった東京立正高等学校(梅沢辰也校長)が、これに替わる「Remote(リモート)修学旅行 沖縄」を3月22日に実施した。沖縄修旅で体験する予定だった琉球文化について、東京の教室に居ながらにして沖縄の現地と、オンラインで結ぶことで学ぶことが出来た。
近畿日本ツーリスト首都圏が企画したもので、3月から提供を開始した「沖縄」は同校で3校目。昨年9月に提供を開始した第1弾の「京都・奈良」は20校以上の学校で活用されてきた。
当日はZoomで沖縄と東京の同校6クラスをオンラインでつなぎ、3時間半にわたり、教室に居ながら沖縄の歴史や文化が感じられる体験が提供された。
総合司会は吉本興行の「47都道府県あなたの街に住みますプロジェクト」より、沖縄在住の芸人である「カシスオレンジ」の2人が務めた。最初のプログラムである平和講話では、幼い頃に沖縄戦を体験した仲座ヨキさん(83)から、その時の思いが語られた。当時6歳の仲座さんは家族と一緒にサトウキビ畑の中に隠れていたところ、アメリカ兵から手りゅう弾を投げられ、「周りが火の海となる中を必死の思いで逃げのびた」という。
続いてのプログラムは、沖縄SDGsマップを使った沖縄探究として、SDGsマップ制作に携わった玉川大学教育学部の寺本潔教授からマップの使い方について説明が行われた。
マップは折りたたむとA5サイズになる携帯に便利なサイズで、地図上の観光スポットとSDGsの17のゴールとの関係性を学ぶことができる。SDGsマップは事前学習などで活用した後、現地で地図を見ながらSDGsに関連した場所を見学するために作られたが、コロナ禍によりリモート修学旅行で活用されている。今回は生徒に1部ずつSDGsマップが渡され、SDGsの開発目標を学ぶために、どこを訪れるかを考えた。
続いては文化体験プログラムとして「漆喰シーサー絵付け体験」に挑戦。オンラインで講師の解説を聞きながら、生徒たちはアクリル絵の具で思い思いの色を塗り上げていき、自分だけのオリジナルのシーサーを完成させた。
最後は生徒全員がグラウンドに出て、ドローンによる全体撮影で締めくくられた。
梅沢校長は「1月に予定していた修学旅行を3月に延期したが、緊急事態宣言の延長を受けて中止を決定した。生徒は事前学習で沖縄について調べていたので、それを無駄にしたくないという思いからリモート修学旅行の実施を決めた。コロナ禍により、沖縄に行けたとしても戦争講話は聞けないものとあきらめていた。リモート修学旅行により聞くことができたのは、戦争の悲惨さを知る意味でも大きな収穫だった」と語っている。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2021年4月19日号掲載