コロナ禍の影響で、修学旅行の実施をめぐっては、中止や行き先を県外から県内に変更するなど、学校は難しい対応を迫られている。徳島県の県西部(美馬市・三好市・つるぎ町・東みよし町)で農林漁家民泊を26年間続ける(一社)そらの郷では、コロナ禍でも安全に民家での農林業や漁業の体験ができるよう、感染症対策を徹底している。
今年度は各専門分野の有識者を招き、全179家庭に訪問衛生指導を実施。感染症対策の専門家とチームを組み、2週間ルール(不要不急の行動自粛)をはじめとする独自の厳しいガイドラインを策定・周知した。戸別の衛生実地研修の実施により、約40軒の民泊家庭が、今年度も受入れを行っている。
8月下旬から9月には、大阪府の柏原市立玉手中学校、大阪市立生野中学校、大阪市立港中学校の受入れを実施。民泊家庭スタッフは学校と共に出発日の2週間前から健康観察・行動記録を行い、不要不急の行動自粛を徹底。緊張感を持って当日を迎えた。
現地到着後も、スタッフが生徒の検温を実施した。生徒たちが笑顔で来訪した各家庭では、スタッフが体験交流や食事の際などのガイドラインを遵守。生徒と適度な距離を保ち、会話が対面にならないよう工夫した。
感染症対策に必須な換気と害虫対策の両立のため、夜間は蚊帳を寝室以外にも複数設置するなど、各家庭独自の対策も行われている。
生徒や教員からは、「コロナ禍においても開放的な自然体験ができた」「この感動は今年しか手に入らない」などの喜びの声があがっている。今年度はさらに10校程度を受け入れる予定だ。
そらの郷では今年度からの新たなテーマとして「命を守る教育」を掲げ、お互いを思いやりながら、「家族としての感染症対策」のアクティブ・ラーニングを提供。新たな価値の創造や、今だからこそできる教育を実現している。
民泊家庭でのアクティブ・ラーニングを通じて、不確実な社会へ主体的に立ち向かえる若者の育成につなげていく。
詳細=https://nishi-awa.jp/soranosato/
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2020年10月19日号掲載