「おうちミュージアム」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、自宅で過ごす子供たちに楽しんでもらうことを目的とした特設サイト。全国の博物館や美術館などが提供するコンテンツやアイデアを発信。休校中のオンライン授業にも活用されている。また東京国立博物館は、動画と見学を組み合わせた新たなスクールプログラムを検討中だ。「新しい生活様式」が展開されるうえで、修学旅行や社会科見学等の中止に代わる「学び」の体験としても注目される。
■「おうちミュージアム」を発案、参加呼びかけを行ったのは北海道博物館。全国よりも早く2月末から小中学校が休校措置となる中、同館は3月5日から、全国のミュージアムに参加を呼びかけた。オンラインのコンテンツはそれまで各館が独自に提供していたが一緒に紹介することで、よりワクワクするものになるのではと考えたという。なお同館は「ならべて楽しもう アイヌ語ブロック」「くずし字を読んでみよう」など25点以上を掲載している。
公私立・企業館を問わず、博物館や美術館、科学館の他、生涯学習センターや教育委員会なども参加。現在196施設がリンク集に並ぶ。北海道博物館HP内特設ページ(http://www.hm.pref.hokkaido.lg.jp/ouchi-museum/)のほか、参加各館のHPにもバナーが設置され、各館それぞれのサイトからもアクセスできる。
当初は休校期間中のみの企画としていたが、常設で継続したい考え。東京の小学校では、オンライン授業の図工の教材として学校HPと同サイトをリンクしている事例もあり、今後もさまざまな活用ができそうだ。
■神流町恐竜センターも、「おうちミュージアム」に3月14日から参画。HPでは「バーチャル恐竜センター」をオープン。Google Mapのストリートビューでセンター内を見学できる。マスコットキャラクター「サウルスくん」のまちがいさがし、「恐竜の骨の名前 学習シート」など、未就学児から大人まで反響がある。
同センターの再開時期は未定。再開後は1時間に50人を目安に入館できるよう、事前予約制を導入予定。リモートで楽しめる企画にも積極的に取り組んでいく。
■東京国立博物館は総合文化展について「オンラインギャラリーツアー」として動画を公開している。展示したものの、臨時休館により来場者に紹介できなかった作品などについて、同館の研究員が想いを語る。現在5本アップされており、すでに視聴回数2万回を超える動画もある。
現在は館内で多人数を集めて行うスクールプログラムの再開時期は未定。代替として、事前に学校で動画を視聴してから来館し、自由見学と組み合わせて活用できるプログラムを検討中だ。「校内の授業で活用してもらえる博物館リソースの在り方も検討していきたい」(同館教育普及室)。
同館HPトップページにリンクがある「ColBase」(国立博物館所蔵品統合検索システム)も活用したい。国立文化財機構の東京、京都、奈良、九州の国立博物館の所蔵品を横断的に検索できる。所蔵品の時代や解説などを収録。利用規約を守れば自由に利用できるので、調べ学習や教材作成に役立つ。
6月2日より一部開館。事前予約制。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2020年6月15日号掲載