各賞の受賞校（前列）と審査員（後列）
（公財）全国修学旅行研究協会は2月27日に、修学旅行に関する学校のＨＰを対象に優れた取組事例を表彰する｢第19回修学旅行ホームページコンクール｣の表彰式を行った。文部科学大臣賞（大賞）は開成高等学校（東京都）。各部門の優秀賞は東洋大学附属姫路高等学校（兵庫県）、石巻市立湊中学校（宮城県）、東洋大学附属姫路中学校（兵庫県）の3校となった（小学校部門優秀賞は該当校なし）。テーマの設定や事前・事後学習などの内容面、ＨＰの構成・見やすさなどを中心に審査された。
審査員を務めた全日本中学校長会・教育情報部長の福山隆彦氏（世田谷区立尾山台中学校長）は、｢トップページから修学旅行のページまでストレスなくアクセスできており、生徒の作品が見やすいデザイン・構成・レイアウトなのもよかった。学びの旅のプロセスや生徒たちの学習意欲の自主性がよく示されている｣と受賞校のホームページを評価した。
一方、文部科学大臣賞を受賞した開成高等学校の永野敬久教諭は、｢地理総合が必修化されるが、新しい地理総合という科目であっても、ＧＩＳ（地理情報システム）や修学旅行が最も学習を達成できると思う｣とコメントした。
受賞校は次のとおり。
開成高等学校の修学旅行ＨＰ。当日までの流れも明記。今年度は無人島で一日を過ごした班もあった
▼文部科学大臣賞（大賞）＝開成高等学校（東京都）。生徒主体で作成されたＨＰ。修学旅行のしおりを忘れる生徒はいるが、スマートフォンを忘れてくる生徒はいないので、ＨＰを確認すれば修学旅行の日程がすべて把握できるように工夫してある。同校では生徒の手で旅行先を決めるため、プレゼンまで実施するなど、決められた行き先について調べる事前学習と比べ、よりよい学習になっている。事前学習で課題提起を行い、目的を持って旅行へ参加し、当日の実地調査、事後のレポートで自らの考えの変化等が生まれ、学びが深まったと感じさせる。
ＨＰ＝ks5trip2019.wp.xdomain.jp/
▼優秀賞（高等学校部門）＝東洋大学附属姫路高等学校（兵庫県）。修学旅行における目的が明確に設定され、それに基づいた現地学習のプログラムがしっかり組まれていた。三陸の震災学習が中心で、阪神・淡路大震災とも関連したテーマに沿い震災・防災学習に特化した事前学習の内容が充実。深い学びを得た生徒感想文もある。
ＨＰ＝https://www.toyo.ac.jp/himeji/jh/sl/school-trip-hs/old/2019/
▼優秀賞（中学校部門）＝石巻市立湊中学校（宮城県）。修学旅行で目指す生徒の姿と教員の思いが明確で、学びのねらいと内容が一致している。5つの班として行動するが、それぞれがしっかりとした目的で社会の仕組みや仕事の理解に取り組んでいるユニークな学習内容となっている。ＨＰの構成においても英語表記を併記しており、グローバルな対応への心がけがうかがえる、レベルの高い斬新なＨＰ。
ＨＰ＝
▼優秀賞（中学校部門）＝東洋大学附属姫路中学校（兵庫県）。総合的な学習の時間と修学旅行をリンクさせ、アクティブ・ラーニングの視点をもった学習活動に取り組めている。現地の人とのディスカッションなどを通して、生徒たちの考えもより深まっているほか、ＩＣＴを活用した事前・事後学習も行われていることも評価された。関連リンクとして他学年や過去の取組にもすぐアクセスできることも利点で、学校全体の学習の流れもつかめる。
ＨＰ＝https://www.toyo.ac.jp/himeji/jh/sl/school-trip-jh/previousschooltrip-jh/2019/
▼優秀賞（小学校部門）＝該当なし
▼入選＝鹿児島市立錦江台小学校（鹿児島県）、兵庫県立小野高等学校（兵庫県）、桐蔭学園高等学校（神奈川県）。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2020年3月16日号掲載
