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教育旅行

体系的な課題解決型学習へ  第36回全国修学旅行研究大会<全修協>

2019年9月24日
体験学習・教育旅行特集

(公財)全国修学旅行研究協会は、7月26日に都内で「第36回全国修学旅行研究大会」を開催した。今回は「学びの集大成を図る修学旅行 感性をはぐくむ修学旅行」をテーマに、調査報告や事例発表、講演が行われた。

【調査報告】
全修協の歩みと陳情活動
全国修学旅行研究協会

中高一貫の6年間で実施する体系的な課題解決型学習を仙田校長が解説

中高一貫の6年間で実施する体系的な課題解決型学習を仙田校長が解説

同協会は、戦後混乱期の修学旅行で船やバスでの事故が多発したことを受け、1955年に創立された。以降、「安全性の確保」「教育性の向上」「経済性の適正化」を基本方針に、修学旅行の改善向上を推進している。修学旅行費国庫補助金増額への陳情もその活動の一環だ。昨年度の陳情の結果、今年度の修学旅行費は、小学校が2万1670円(+180円)、中学校が6万300円(+2710円)だった。

学習指導要領に基づく教育的意義上、義務教育学校での修学旅行には全員参加の基本原則が確立される。

一方、昨年度の不参加生徒数は関東・東海・近畿の3地区で8379人。そのうち5964人(約70%)が不登校、763人(約9%)が疾病、311人(約3・7%)が経済的理由での不参加だった。

【事例発表】
中高一貫6年間を見通した修学旅行
品川女子学院中等部高等部
仙田直人校長

これまでの修学旅行は「調べた史跡や文化財の知識をもとに見学する修学旅行」だったが、今後は自らが課題を持って旅行先の調べ学習を行い、自らの仮説を検証する。事前学習では、資料やグラフなどを読み取り、疑問を持つことが大切だ。同校では中高一貫の6年間で、体系的な校外学習を導入した。

中学1年は自然体験を通じて地域の課題解決策を学ぶ。中学2年は田舎体験として千葉県南房総市までの遠足で田植えなどを経験するほか、富岡製糸場での世界遺産体験や民泊体験をして日本の課題解決を学ぶ。中学3年では経済的事情などを考慮し、「ニュージーランド修学旅行」を3週間・1週間滞在の選択制で実施。オークランドでの自主研修やホームステイなどで世界を知る。

高校1・2年では「シリコンバレー・デザイン思考研修」として、サンフランシスコで8日間の研修を行うほか、クラスごとに夜会課題解決の理念をもって企業と連携し商品を開発する「企業体験プログラム」を実施している。

今後は、多角的な資料から仮説を立てる課題解決型の修学旅行が必要だ。ICTを活用し、生徒個々に応じた研修型の修学旅行を実施することが、深い学びにつながる。

「小学校では多くの気づきをすぐ言葉にできる。多感な時期である中学校では、外国人インタビューを行うなどで種をまいてほしい。高等学校だけではできない教育も多い」

【講演】
これからの修学旅行の在り方
文化庁 坪田知広参事官(芸術文化担当)

子供は修学旅行で、集団生活での宿泊など、平時と異なる環境下にあり、移動しないと見られない、価値あるものを体験する。このほか、これまでにない文化的体験や、行った先ならではの相互交流も大切だ。

新学習指導要領の教育内容の改善事項では、郷土の音楽・和楽器、武道、和食や和服などの指導や、他社との協働の重要性などを実感するための体験活動の充実も盛り込まれている。

「教育内容・活動に必要な人的・物的資源を、地域などの外部リソースも含め最大限に活用し、効果的に組み合わせてほしい」

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2019年9月23日号掲載

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