大規模校でも効率的な移動が可能で運行時間も安定しているなどの利点から、修学旅行にJR新幹線を利用する学校が多い。首都圏の公立中学校の場合、行き先は関西方面がほとんどだったが、近年は北へ東へと多方面に拡散している。今年度も、東北地方や関西地方など各方面へ向かう修学旅行生の第一陣を見送る出発式が、上野・東京駅で行われた。
東京都中学校長会修学旅行対策委員会(都修委)は5月7日、「東北方面修学旅行出発式」(事務局=公財・日本修学旅行協会=日修協)をJR上野駅構内で開催した。東京都公立中学校の修学旅行は、東海道新幹線修学旅行専用列車と、東北・上越・北陸新幹線定期列車を利用して実施することが多い。その中で東北方面へと向かう今年度の第一陣として、練馬区立開進第二中学校(指田和浩校長)の生徒177名が出発式に集まった。
開式にあたり都修委の剱持利行副委員長は「東北の方々は皆さんを待ちに待っている。事故のないようにしっかり勉強してきてほしい」とあいさつ。同校生徒代表の田島音祈さんは「あの日私たちに大きな衝撃を与えた東日本大震災からどのように復興していったか、多くのことを学びたい。民泊の後のバーベキューが3日間のご褒美として楽しみ」と応えた。
代表生徒らからJR東日本関係者へ花束が贈呈されると、上野駅の松浦明副駅長は「来年の今頃皆さんはそれぞれ別々の進路を歩んでいる。この修学旅行をよき思い出にして、今後も頑張ってもらいたい」と激励した。
閉式後、生徒はやまびこ号に乗車し東北地方へと出発。初日に中尊寺を見学し、南三陸町で震災学習を実施した。2日目は林業・漁業の選択体験の後、大崎の田尻で田植え体験を行った。最終日には民泊でバーベキューをするなど、2泊3日の修学旅行を経験した。
都修委によると都公立中学校修学旅行での、今年度の集約列車の運行期間(出発日基準)および利用校数と人数は、北陸新幹線が2日間(3校・346名)、東北・上越新幹線が7日間(7校・854名)、東海道新幹線が64日間(507校・7万140名)。
関東地区公立中学校修学旅行委員会(以下、関修委 事務局=公財・全国修学旅行研究協会=全修協)は5月8日、東京駅・東海道新幹線ホームで「2019年度関東地区公立中学校修学旅行出発式」を行った。
第一便となる「のぞみ号専用臨時列車」に乗車し、関西方面修学旅行に向かったのは、千葉市立稲浜中学校、千葉市立土気南中学校、市川市立南行徳中学校、柏市立柏第四中学校、野田市立関宿中学校、四街道市立四街道北中学校、佐倉市立臼井西中学校、市原市立ちはら台西中学校の8校・1020人。
出発式には8校の学校長と代表生徒が参加。関修委からは研究委員である、成田市立公津の杜中学校の小川昌俊校長が「思い出と深い学びを求めて、3日間、事故のない楽しい修学旅行を」とあいさつ。全修協の岩瀬正司理事長も「この素晴らしい青空のように、明るく元気で楽しい修学旅行にしてほしい」と言葉を贈った。
利用校の代表生徒として、四街道北中学校の藤島秀斗さんは「これまでの授業などで学習してきた京都・奈良の文化や歴史と共に、集団行動の大切さや一人ひとりが自分の行動に責任を持つことの意味、仲間と楽しく過ごすことの価値を考えながら、最高の修学旅行にしたい」と述べた。
その後、代表生徒らからJR東海関係者へ花束が贈呈された。JR東海・東京駅の佐津川和宏駅長は「昨年度は1億7000万人を超える乗客を1日平均約373名の列車で運んだが、それぞれの列車の遅れは平均0・9分と安定している。今回は修学旅行の専用車両なので、友人との語らいも気兼ねなく過ごせる。富士山や浜名湖なども車掌から紹介してもらえるので楽しんでほしい」と返礼した。
関修委によると、今年度は茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉の5県で関西方面へは756校・11万966名、東北・北陸・信越方面へは17校・2612名の計画輸送を実施する。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2019年6月24日号掲載