「平成30年度北海道教育旅行説明会・相談会」(主催=公社・北海道観光振興機構)が12月11~13日、大阪・名古屋・東京の3会場で開催された。
13日の東京会場では学校関係者・旅行関連企業を対象に、2020年に新設される国立の民族共生象徴空間「ウポポイ」のプレゼンテーションのほか、修学旅行の新幹線学生団体割引、28団体による紹介スピーチや相談会も行われた。(公社)北海道観光振興機構・誘客推進事業部の橋屋哲担当部長は、「昨年9月の北海道胆振東部地震の影響も心配はないので、積極的に修学旅行に訪れてほしい」としている。
内閣官房アイヌ総合政策室・北海道分室の笹木裕子主査は、2020年4月24日に白老町に開設される民族共生象徴空間「ウポポイ」の概要を説明した。新学習指導要領においても「アイヌの人々の文化」について触れることになっている。「ウポポイ」は、アイヌの歴史・文化に関する幅広い世代への理解促進を図り、その文化継承と新たな発展をつなぐナショナルセンターだ。
全体の総面積は10ヘクタール。北日本初の国立博物館となる「国立アイヌ民族博物館」でアイヌの歴史や文化を様々な視点で紹介するほか、アイヌ文化を体感できる体験型フィールドミュージアム「国立民族共生公園」、「慰霊施設」、「伝統的コタン」、「工房」などから構成される。
国立民族共生公園には「体験交流ホール」(500席)と「体験学習館」の2つの中核施設があり、アイヌ古式舞踊やムックリ(口琴)、トンコリ(五弦琴)の演奏公演などを予定するほか、木彫り・刺繍製作や伝統料理試食体験など、多彩な体験プログラムを検討中だ。体験学習館の対応人数は最大400名で、50名単位で8分割まで可能。大型の団体でも利用可能だ。
またアイヌ文化を学べる貸出教材や遠隔授業など、事前・事後を含めた単元全体の授業をサポートするカリキュラムや体制の整備計画も進めている。営業日、利用料金、体験プログラム、予約申込み方法などは、今年3月までに公式HPで発表予定。HPでは「よくある質問FAQ」も掲載中。https://ainu-upopoy.jp/
JR北海道は北海道新幹線で行く修学旅行について説明した。
新幹線を利用するメリットは、学校の最寄り駅から出発でき、航空運賃よりも安価といった点。北海道新幹線の普通車定員650席のうち、350席までの学生団体対応が可能だ。運休も少ない。
JR北海道は2019年出発分より、関東地区の高等学校を対象に、片道利用時における新幹線の学生団体割引施策を新たに設定する。往路・10月1日~11月26日、復路・10月4日~11月30日の設定期間中に指定列車を利用すると、運賃50%・料金10%の割引が適用され、東京~新函館北斗駅間の料金は片道1万5790円となる。この時期は平日が閑散期で各種予約も取りやすく、温泉地での修学旅行の利用実績も多い。今年からは、ニセコエリアで受け入れ実績のあるMulberry(マルベリー)による「地域産業ふれあい体験」が道南地区でも可能となるため、新函館北斗駅のある渡島地方でも農業・酪農・漁業体験ができる。
また、新函館北斗駅までの所要時間が東京駅からは最速4時間2分、大宮駅からは最速3時間38分であることからも「新幹線片道利用」を勧めており、3泊4日、2泊3日のモデルコースも提案している。
▼問合せ=JR北海道 東京営業部 外販グループ▼TEL=03・5334・0463▼Eメール=tyo-gaihan@jrhokkaido.co.jp
説明会では、全道から参加した企業・団体が、各地の魅力を案内した。
▼渡島地方=西部地区班別研修で文化の歴史的背景を学ぶ。(函館市)▼石狩地方=びっくりドンキーの直営農場を運営するアレフが、豊富な環境学習の素材を紹介。▼空知地方=夕張市は人口約8000人の「映画の町」として観光客を招く。(夕張観光プロモーション推進協議会)▼胆振地方=有珠山ジオパークでの防災学習。(洞爺湖町)▼後志地方=環境モデル都市・SDGs未来都市であるニセコ町でのイングリッシュツアー運営。(ニセコリゾート観光協会)▼上川地方=十勝岳のジオツアープログラム(美瑛町観光協会)、開拓された泥炭地での環境体験(一社・ふらの観光協会)。▼十勝地方=乗馬体験や農業運動会などの体験。(帯広ファームトリップ推進協議会)▼釧路地方=釧路湿原での自然保護学習やカムイコタン体験。(釧路観光コンベンション協会)▼根室地方=今年度から補助制度が拡充した北方領土学習(根室管内教育旅行誘致推進協議会)、根室海峡のホエールウォッチング(知床羅臼町体験学習推進協議会)など。▼オホーツク地方=商船三井フェリーは、星空観察などの船内イベントを用意。礼文島などへの航路があるハートランドフェリーは「島に10人ほどしかいない地元の高校生たちともぜひ交流してほしい」としている。
北海道教育旅行サイトでより詳しく
サイトでは、事前学習資料、モデルコース、教育プログラムや動画を掲載。教育プログラムはカテゴリ別・エリア別・受け入れ施設一覧が閲覧できる
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2019年2月18日号掲載