(公財)全国修学旅行研究協会は、7月24日、「第35回全国修学旅行研究大会」を都内で開催した。今回のテーマは「学びの集大成を図る修学旅行」。同協会による調査報告と事例発表、基調講演などが行われた。
同協会は「海外修学旅行―修学旅行と国際理解教育」をテーマに教育委員会を対象とした調査研究を発表した。文科省の調べでは、平成28年度に海外修学旅行を実施した学校は842校だった。訪問国別に見ると、台湾が最も多い43・7%、次いで東南アジア30・1%、アメリカ19・2%となっている。ベトナムやフィリピンの平和学習や学校交流が増加傾向にある。
同協会の石原輝紀調査研究部長は、海外修学旅行で目的とされる国際理解教育のポイントとして、「異文化の生活習慣、価値観の正しい認識」「自己の確立と自国の理解」「学校交流によるコミュニケーション力の育成」を挙げる。「海外修学旅行は世界的な視野を持つ人材を育成するための取組の第一歩。自国の歴史や文化の理解を深めさせることが異文化を理解・尊重する姿勢とグローバルな感覚を持った人材の育成につながる」と説明した。
「災害プログラムの実践」について、防災教育推進協会の3名が提言を発表した。常務理事の濱口和久氏は、修学旅行への備えとして日頃から防災を学ぶ環境づくりが大切だとする。具体的な事前準備としては「近隣の避難所を確認する」「訪問先の過去の災害情報を確認する」などを挙げた。土地勘のない場所で自由行動を実施する際、これらの事前確認の有無で万が一の対応や子供たちの安心感が大きく変わるという。国土交通省のHPで掲載されている全国版のハザードマップなどの活用を提案した。
PR企画部長の中尾望起子氏は、女性の視点から災害を見据えた修学旅行の備えを紹介。理事の岩永正雄氏は、修学旅行時の防災教育と自由研究を通して培われた中学生の防災力の高まりについて、事例を紹介した。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2018年9月17日号掲載