福島県の復興状況や食・観光の魅力などを知事自らが伝える「チャレンジふくしまフォーラムin首都圏」(福島県主催)が1月30日、都内で開催された。内堀雅雄知事、尾木直樹氏(教育評論家)による講演とスタディツアーで実際に福島を訪問した学校・企業によるトークセッション、教育旅行商談会が行われ、教員や旅行関係者など200人近くが参加した。
福島県では、震災と原子力災害を経験した福島ならではの学びである「ホープツーリズム」を新しい教育旅行の形として提案している。内堀知事は、同県を教育旅行で訪問した熊本県・宇土高校の生徒の「復興に挑戦する現地の姿に希望を感じた」という感想を受け、「現在も復興の課題は残っているが、“チャレンジ県ふくしま”として挑戦し続けたい」と語った。一方、尾木氏は教育旅行における原体験が人間性を育む役割を担っていることを説明。「同県には原体験につながる教育旅行素材が多数ある」と紹介した。
福島県では、平成28・29年度、県外の学校・企業などを対象に福島の現状を伝えるスタディツアーを実施した。トークセッションでは、ツアーに参加したお茶の水女子大学附属高等学校(菊池美千世副校長、野崎愛さん・高2)、筑波大学附属駒場中・高等学校(大野新高校副校長、齋藤真さん・高1)、㈱みずほフィナンシャルグループ、三井不動産㈱が登壇。「ふくしまを訪れて感じたこと」をテーマに意見が交わされた。進行役は(一社)ふくしま学びのネットワークの前川直哉理事・事務局長が務めた。
筑波大学附属駒場中・高の齋藤さんは、津波で大きな被害を受けた浪江町請戸地区の請戸小学校を訪問した際、震災当時のままの校舎を見学して「改めて震災の大きさを実感した」と振り返る。南相馬市立総合病院院長が震災時の医療現場の様子について語った講話も強く印象に残ったという。
お茶の水女子大附属高の野崎さんは現地で見学したフレコンバッグ(除染土壌を収納した袋)の数の多さに衝撃を受けたこと、川内村の婦人会で活動する女性住民の講話を受けて現地訪問の価値を感じたことなどを語った。尾木氏は2人の感想を踏まえ、「まさに人間性を育てる取組。福島に行くことで多くの学びがある」と語った。
企業側からも「今後の産業を支える拠点が集まっていて、同県が持つポテンシャルの高さを感じた」などの意見があった。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2018年2月19日号掲載