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教育旅行

福島県教育旅行誘致セミナー

2016年2月15日
教育旅行

アクティブ・ラーニングで教育旅行ンの新たな形を

第1部 芥川副校長による基調講演
福島工業高専の芥川副校長は課題解決型の教育旅行を提案

東日本大震災からまもなく5年。震災前の福島県は年間70万人の教育旅行を受け入れていたが、震災後は激減。平成26年度には約35万人まで回復したが震災前の半数だ。2月8日、(公財)福島県観光物産交流協会は福島県との共催で、同県が持つ豊かな自然や震災を教訓とした学びを素材とする教育旅行の学習素材を紹介する「平成27年度福島県教育旅行誘致セミナー」を都内で開催した。

基調講演で「未来を覗く福島の教育旅行」について話した福島工業高等専門学校の芥川一則副校長は、アクティブ・ラーニングを取り入れた新しい形の教育旅行を提案した。

「単なる施設の見学で終わらず、そこから課題を見つけて、その解決に向けて話し合いを進めることで、人間力を高めていくのが新たな福島の教育旅行」と芥川氏は語る。

そして、同校の学生2名が、双葉郡楢葉町の「楢葉遠隔技術開発センター」での見学を例に、アクティブ・ラーニングを取り入れた教育旅行を紹介。同センターは原子炉の廃炉に向けて作業員が訓練する施設で、バーチャルリアリティやモーションキャプチャなどの最新技術が学習素材。

見学後にワークショップを行い「施設を訪問して福島のイメージは変わったか」などファシリテーターが次々と質問を投げかけていくことで生徒の気づきにつなげる。

福島県の教育旅行誘致に向けた取り組みは、同県観光交流局観光課主事の深野明伸氏が説明。

震災後、一般観光客と比べても、教育旅行の落ち込みは大きいことから、安全性を立証するため県内全域で放射線の測定を実施した。除染作業と時間の経過により大半の地域は、県外の主要都市と変わらない数値にまで下がっている。

震災後、県内ではその教訓を取り入れた学びを様々な形で展開しているが、紙芝居で当時を伝え続けている「浪江まち物語つたえ隊」は『奇跡の請戸小避難物語』を紹介。海から300メートルの距離にありながら、津波の犠牲者を一人も出さなかった請戸小学校の様子を、紙芝居で記憶に残し、要望に応じて教育旅行にも対応している。

■7エリアで 素材紹介

第1部 震災語り部による紙芝居
震災発生時の様子を紙芝居で伝える「浪江まち物語つたえ隊」

セミナーでは、県内を7エリアに分け、各地域の教育旅行の取組や素材を紹介した。

▼県北・県中=安達太良山周辺にあるキャンプ場「フォレストパークあだたら」では、薪を使った火起こしなど、キャンプを通じて災害に対応できる能力を育む▼県南=玄関口である新白河駅へは東京駅から新幹線で約70分。オートキャンプ場が点在する「羽鳥湖高原レジーナの森」では、林間学校や農村交流体験が行える▼会津若松・喜多方=磐梯山など豊かな自然に恵まれ、喜多方市では農業田舎体験を実施。会津藩校日新館の「什の掟」は道徳教育の観点からも注目できる▼猪苗代・裏磐梯エリア=五色沼を巡るトレッキングは高低差が少ないため小学生でも気軽に歩けるコース。冬はエリア内にある9のスキー場でスキー教室を実施可能▼南会津=田島・舘岩・南郷・伊南の4地区で民泊を受け入れ。農家民泊と尾瀬ハイキングや清流ラフティングなどの組み合わせが想定できる▼いわき=津波の被害が大きかった地域で、語り部による学習や、地元の高校生との交流が可能。震災について同世代と話し合える貴重な地域▼相双=今も震災の爪痕が深く残るが、復興に急ピッチで取り組んでいる。昨年4月に開校した「ふたば未来学園高等学校」は地域の希望と共に学校間交流の要となる。

【2016年2月15日号】

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