沖縄県と(一財)沖縄観光コンベンションビューローは、8月4日、5日に学校関係者、旅行会社を対象に「沖縄修学旅行フェア2015」を沖縄県内で開催。最新の教育旅行の情報が提供され、説明会及び現地を視察するエクスカーションも実施。4日のエクスカーション「平和学習コース」では、現地の大学生とディスカッションを重ねる「沖縄平和共育プログラム」を、新たな平和学習のプログラムとして提供していくことが紹介された。
修学旅行フェアは、沖縄コンベン
ションセンターを会場に開催(上) エクスカーションでは、海ぶどう の収穫体験施設を訪問 |
戦争体験者が年々減り、その高齢化も進んでいる。さらに、平和学習の定型化など課題が生まれ、沖縄県では平和学習の新たな姿を模索していた。
そこで生み出されたのが、琉球大学の学生による「アウトプット型」の学びだ。「戦争の悲惨さを語り伝える」だけではなく、「聞く」「見る」に「議論」を加えて平和学習を深化させ「平和教育」を「平和共育」とした。
例えば、約6名の修学旅行生に大学生2~3名が付き、車座になる。次に、紙に自己紹介を兼ねて名前を記入し、その横には「今、あなたは平和ですか」「日本は平和ですか」「基地は必要ですか」などと設問を記入。これに対し、自らの意見を考え、発言していく。
この新たな学習は、琉球大学教育学部3年の国仲瞬さんが代表取締役社長兼CEOを務める学生社員5名で構成された(株)がちゆんが運営。取り上げるテーマは、事前に実施校と話し合うが、「特定の思想を押し付けない」「各自の考えを深め発表する場で、結論はまとめない」ことが大前提だ。来年度は、113校が実施を予定している。
これまでの参加校の生徒からは「他人ごとではなく、自分ごととして考えたい」「こういう場があるからこそ、初めて真剣に考えた」などの声が寄せられている。
スタッフは琉球大生が中心で、プログラムの監修は同大学教授陣らが行う。学生は事前研修が必修で、勉強会やファシリテーション講座を行いスキル向上に努めている。
4日のセミナーでは、東京都立向丘高等学校の事例が発表された(発表者=飯田一史教諭)。同校は平和学習を中心に修学旅行を行っているが、沖縄で実施する魅力について「沖縄戦の学習を通して平和について考えが深まる」「沖縄基地問題の学習を通して、国内・国際政治について考えが深まる」「本土と異なる歴史・文化・自然に触れて視野が広がる」の3つをあげた。
それらを通じて「生徒の生き方を考えるよい機会となり、多面的に物事を考える力が付いた」と飯田教諭は述べた。
5日のエクスカーションは、「沖縄歴史・文化コース」と「自然体験学習コース」で行われた。
無形文化遺産で沖縄が世界に誇る伝統芸能「組踊」、民家で気軽に沖縄の文化を体験する「糸満ファームビジット」は、本州とは異なった沖縄の文化や風土が感じられる。
恩納海浜公園ナビービーチでは、サンゴを守るプロジェクト、海ぶどうの養殖施設見学、沖縄県民の夏の風物詩バーベキューなどのプログラムを提供している。
【2015年9月21日号】