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教育旅行

【北部九州教育旅行現地視察会】参加者の声(抜粋・敬称略)

2016年4月25日

「日本」を学ぶ素材にあふれた地
歴史学習の】さ財が豊富 平和学習は新た案ステージへ 世界遺産で”近代化”を学ぶ

交通

柔軟な航空運賃の設定で 目的・行程の可能性が拡大

高速道路網が充実しているので、バスでの移動がスムーズであった。東京のような交通集中、渋滞はあまり考えなくても良いとすると、長崎から福岡空港まで2時間程度であったことは、目的地近くの空港以外の空港も視野に入れて検討すべきことを実感した。九州各空港が統一割引運賃(※学校研修割引運賃は全て一律の時期がある)であることは、目的地、行程等の可能性が広がることなので、高速道路網と合わせて柔軟に考えることができる。


福岡県

天満宮は博物館と共に 学習の動機付けを図る

太宰府天満宮は九州国立博物館と組み合わせて見学することで、東アジアとの交流の観点から学習の動機づけを図りたい。軍都としての発展と航空隊訓練基地という観点から学習する施設として関東では霞ヶ浦にもあるが、大刀洗においては実物資料が豊富である点で見学価値を高めている。また、辛子明太子道場での体験では講師の見事な話術の中に、明太子が福岡の名産となる所以が説明されていた。普段の学習において生徒が修得した歴史知識や地理の知識、理科的知識を身近な食材に結び付けている。幅広い生徒にとって魅力のある優れたプログラムである。

映像で学ぶ戦争の歴史 わかりやすい構成に

太宰府天満宮はアジア人観光客が多く、飛び交う言葉も含めて国際色豊か。境内の奥で昼食をいただき、和風のお弁当に名物「梅が枝」も出てきた。境内では合格祈願の鉛筆なども購入することができる。大刀洗平和記念館では「孫が祖母についてこの地の歴史について学ぶ」という内容の映像を見た。戦争を取り扱っているものの、暗くなりすぎず、かつわかりやすく生徒にも学びやすい構成。特攻隊員の袋などの私物も展示され、リアルさが感じられた。


大分

淡窓への知識を深める グループでの町歩き

咸宜園は歴史の教科書で必ずといって良いほど触れられる私塾だが、通常の授業ではその歴史的意義について十分に説明し、生徒に理解させることは難しい。咸宜園跡は史跡公園として整備が進められ、塾の来歴や歴史的な役割について学ぶことが可能になる。豆田町は歴史的な町並みが保存され、廣瀬家資料館で咸宜園や廣瀬淡窓をとりまく人々についての知識を深められるなど、小グループでの散策に適している。

「教育」を切り口に 歴史を学べる咸宜園

「咸く宜し」の精神が多様性の理解を意味するものであるならば、廣瀬淡窓の教えは200年の時を経た今日でもなお新しく、現代社会に示唆するものがある。観光地にテーマ性が求められている中で、咸宜園、豆田町の街並みが「学ぶ心・礼節の本源」をテーマとした「近世日本の教育遺産群」として日本遺産に認定された意義は大きく、ここが「教育」を切り口とした歴史を学習できる修学旅行の適地であると感じた

APU留学生との交流は 平和学習として興味深い

日田では三隈川で屋形船にに乗船できる

日田市は福岡県から近く修学旅行には組み入れやすい。咸宜園や廣瀬淡窓は教科書にも出てくるので、学習テーマを決めて実施しやすいと思う。屋形船は生徒が非日常を体験できるだけでなく、三隈川を利用した林業や筑後川に注いで筑紫平野を形成するなど、日田市の地理や歴史を感じ取ることができるだろう。また、現代世界の紛争について多角的に考えるという視点の平和学習において、立命館アジア太平洋大学(APU)の留学生との交流プログラムは興味深く感じた。


佐賀県

歴史・文化の素材が豊富 日本史を楽しめる場所

教科書を体感できる吉野ヶ里の展示室

吉野ヶ里遺跡は以前より整備され、見学しやすく工夫されていた。ここでは様々な資料を基に、多少の想像を交えながら、弥生時代の大規環濠集落での暮らしぶりを再現している。展示室には図録でおなじみの「首のない人骨」をはじめとする出土品が並んでいるが、多少なりとも日本史を学習をしている生徒であれば知っているものが並んでいるので、見学も楽しめるだろう。佐賀県は古代から近世にかけて、世界・アジアとの交流拠点であり有田焼の生産地でもある。歴史や文化について学習する素材は豊富である。

古代ロマンを味わえる 佐賀県で訪問必須の場所

吉野ヶ里遺跡を訪れたのは18年ぶり。当時は、まだ現在のように歴史公園として復元整備されておらず、ブルーシートが敷かれた発掘現場に、高い櫓が一基あるだけだった。今回訪問し、東口の入口にはモダンな歴史公園センターの建物ができており、園内もまったく様変わりしていた。遺構や展示の見学、体験プログラム等を通して古代ロマンを存分に味わえるテーマパークとなっており、佐賀県を修学旅行の行程に入れる場合、必須のスポットである。


長崎県

子供たちの真摯な態度を 導きだす祈念館での追悼

修学旅行の定番ルートに、今回、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館をご紹介頂いた。被爆者の手記などの朗読、そして原爆投下中心地の上空を臨んでの追悼。この空間なら、生徒・児童の真摯な態度を導き出せる。場が持つ力が実りある平和教育を生み出せるだろう。ここでの時間を経てから資料館での学習を行うことで、生徒・児童の平和への希求はさらに増すだろう。プロジェクションマッピング技術を導入した展示解説のリニューアルを含めて、原爆被害の恐ろしさと絶望、平和への希望を体験できるコンテンツだ。

タッチペンで音声案内 班に1つで充実の研修に

グラバー園では音声タッチペンで各箇所の説明が流れ、学びを支援

長崎港を見下ろす高台にあるグラバー園では、タッチペンによる施設案内に感嘆した。手元の地図をペンでなぞると案内音声が流れる仕組みで、グループに1台あれば充実した研修になる。また、厳かな雰囲気を漂わせる国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館では、ガラスの柱が立ち並ぶ吹き抜けの空間で追悼集会を行うことができる。ちょうど爆心地上空を見上げる構造になっていため、修学旅行生にとっても当時の状況を想像しやすいものと思われる。軍艦島上陸クルーズは、廃墟と化した建物についてガイドが往時の状況を詳しく説明してくれる。船内のアナウンスや映像でも、日本の近代化を支えた産業遺産としての価値をわかりやすく学べる。

人気が高まる軍艦島 産業史を学ぶ素材に

軍艦島は上陸時のガイド案内と船内アナウンスでじっくり歴史を学ぶ

軍艦島は、世界文化遺産に登録され、話題の映画のロケ地にもなったことで、近年人気が高まっている場所である。日本の産業史を学ぶための現地学習の一つとして訪れるのも良いかもしれない。学年単位で訪問できるのも魅力である。幕末・明治初期の建物が保存・移築されているグラバー園では、西洋文化を間近に感じることができる。レトロ写真館でレトロな衣装を借りて園内を散策できるので、高校生活の思い出づくりの一つになると思う。


生徒が設定する「課題」を調査・研究するための適地

(公財)日本修学旅行協会理事長 竹内秀一

首都圏の高等学校が修学旅行の実施地を検討する際、沖縄と並んであげられる有力な候補地である。それは被爆地長崎での平和学習だけでなく、太宰府や吉野ヶ里などでの歴史学習、有明海や別府、北九州などでの自然・環境学習、軍艦島などでの産業学習など、多様で豊かな学習素材がこの地域にっていること、また、それらの学習素材を組み合わせることが比較的容易であり、班別自主行動をするにも安全で利便性が高いからだ。修学旅行のねらいの一つは、自らの課題を設定し、現地を実際に見て調査・研究し、その成果を課題解決につなげていくプロセスを生徒たちに経験させること。この地域は生徒が設定する様々な課題に対応することができる適地であるとの思いをさらに強くした。

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