北海道富良野市は、ICT利活用推進業務委託(部活動オンライン支援業務委託)の受託候補者選定を公募型プロポーザル方式で行い、東日本電信電話㈱(NTT東日本)を選定した。委託期間は、2024年2月まで。
同市では、少子化や教員の負担増、指導者不足等により部活動の質の維持が困難な地域が増えて課題になっている。同事業は、部活動における地方の地理的制約による不利・不便の解消や、スポーツリテラシー格差の緩和、さらに教職員による指導の負担を軽減させることを目指す。
業務内容は、同市の中学校(最大4校)の運動部活動において、より専門性の高い外部指導者によるオンライン遠隔指導等を行い、デジタル技術を活用した部活動の新たな指導スタイル確立に向けた効果検証や、課題・展望の整理を行う。また持続可能な部活動の実現のため、教育部門で検討される部活動の地域移行性を踏まえて取り組む。
運動部の種目は野球とし、野球以外の種目での指導が可能な場合については、学校の受入体制を考慮し別途協議する。
外部指導者の指導や中学校と遠隔地にいる専門性の高い指導者をオンラインで接続することで、野球部所属の生徒や指導教職員に、生徒個人のスキルに合わせたデータを踏まえた技術指導をリアルタイムで実施する。外部指導者と中学校の接続は1対1の単独接続のほか、1対複数校の同時接続による指導も行い、課題や有用性について検証する。複数同時接続は、部員が減少傾向にある中で指導者の負担軽減につながり、指導者の人数を最低限の数にする想定で指導計画を行う。
生徒や指導する教職員が技術指導等を復習できるよう、学校から各生徒に配布されているタブレット端末を利用するなど、クラウドサービスを利用して、練習方法やフォーム確認等が可能な「お手本動画」を提供する。またチャットサービス等を活用することで、生徒や指導教職員が自ら撮影した生徒のフォーム動画を外部指導者がリモートして添削し、技術指導等に関する質問へのコメント返信なども可能な環境を準備する。
効果検証は、外部指導者に指導内容や屋内・屋外などの実施形式、学校内の他競技種目への展開の可能性等の項目を整理して行う。また指導や効果検証から得られた課題・展望を整理する。生徒や指導教職員の技術面、メンタル面における指導・支援の効果を分析する。また複数校オンライン同時接続による効果を提言し、教職員等の負担軽減に資する可能性を検証する。
オンライン接続環境整備は、各学校の指導場所(体育館・グラウンド等)でインターネット接続利用ができるよう、無線ネットワーク環境等の整備を行う。遠隔リアルタイム指導と複数オンライン同時接続可能な環境を整備するため、複数同時接続可能なビデオツールを使用する。部活動の指導は、基本的に学校から生徒に配布されるタブレット端末を使用せず、事業者がオンライン支援に必要な機器を用意する。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2023年8月21日号掲載