昨年は協会の事業に多くの方々からご協力をいただき、コロナ禍前の水準に活動を戻せました。皆様からのご支援に深く感謝を申し上げます。
さて、昨年のノーベル生理学・医学賞はカタリン・カリコ氏が受賞されました。新型コロナウィルスワクチンの開発に、長く研究されてきたmRNA(メッセンジャーRNA)を活用し、パンデミックからわずか1年でワクチンの実用化に成功されました。カリコ氏はハンガリー出身の女性科学者。研究を続けるための予算がないハンガリーから、幾つかの苦難を超えて30歳の時に家族揃ってアメリカに移住されました。受賞後のインタビューでは「もっと多くの子供たちに科学者になってもらいたい。世界はもっと多くの科学者が必要であり、科学者になることは楽しい」とお話しされています。子供たちが理科好きになり、その興味関心を大人になっても継続してほしいものです。また、女性の理系進学者が少ない日本にとっては、カリコ氏が研究と個人の生活の両方で充実した人生を送られたことを参考にして、女性科学者の育成につながればと期待しております。
本年も、理科教育設備整備費等補助金事業をより一層普及させることを目指し都道府県教育委員会を通じて傘下の市町村や私立学校に、申請手続きと理科教育設備整備台帳作成の指導を行う講習会を、精力的に実施して参ります。全国すべての学校の理科室が楽しく科学に興味関心が深まる場になるよう、より一層理科教育環境向上に鋭意努力していく所存です。
教育家庭新聞 新春特別号 2024年1月1日号掲載