この数年で、学校教育の基調は大きく変化しているように感じます。
コロナ禍による学校の臨時休業は、私たちに「登校する意味」や「学校の意義」の再考を突きつけました。また、オンラインで「つながる」ことの可能性が確認されました。
GIGAスクール構想によって導入された情報端末を用いた学習活動が広く普及し、今では子供たちがそれぞれのペースでそれぞれの関心に合わせてそれぞれの表現をしながら学ぶことが広く承認されています。先生がいないと学べなかった子供たちが、自らたくさんの種類の情報にあたり、友達の学びを参照しながら、過去の自分の学びとつなげて理解の再構成を繰り返すために、情報端末やクラウドツールが不可欠なものとして機能しています。
これらは、我が国の学校教育で長らく常識だとされてきた一斉授業からの緩やかな脱却が始まったのだと捉えることができるでしょう。それぞれの子供たちにとって学びたい、学びやすい学校教育にシフトしているということであり、多様性と包摂性への配慮を最大限にした授業モデルに移行しようということです。
日本教育工学会(JSET)では、新しいデジタル学習基盤を踏まえた授業のありように関する研究をさらに重ね、学校現場に役立つ努力をしていく所存です。本年もご指導ご鞭撻よろしくお願いいたします。
教育家庭新聞 新春特別号 2024年1月1日号掲載